2019年のNBAファイナルはゴールデンステイト・ウォリアーズとトロント・ラプターズの対戦となった。ウォリアーズが優勝するとレイカーズ、セルティックス、ブルズに続くNBA史上4チーム目の3連覇となり、かたやラプターズが優勝するとNBAでアメリカ以外のチームが頂点に立つという史上初の快挙となる。
下馬評では近年圧倒的な力を見せつけているウォリアーズが有利だったが、この記事を書いている時点で3勝2敗でラプターズが優勝に王手をかけている。その原動力はなんと言ってもスパーズから移籍してきたカワイ・レナードだ。2014年には優勝、ファイナルMVPも経験しているレナードだが、このシリーズではその時以上に圧倒的な力を見せ付けている。
またこの活躍で彼の主要なルーキーカードも一気に価格が上昇。今まで地味な印象があり、カード的な人気もトップクラスの選手には少し届かないポジションにいたが、もし優勝すれば彼のカード価値は大きく見直されることになるだろう。
そして、このファイナルでもう1人ブレイクした選手がいるのも忘れてはならない。ラプターズのフレッド・バンブリートである。ドラフト外から入団した彼はコツコツと実績を積み重ねてきたが、このプレイオフではシュート率が2割台と低迷していた。しかし、5月下旬に息子のフレッドJr.が生まれたのをきっかけに奮起し、子供が誕生した日からファイナル進出時まで7割近いシュート率(3P%は8割越え)を記録した。ドラフト外入団だったため彼のルーキー時代(2016-17年)のカードはほんの僅かな種類のサインカードしかない。この時期にカードを買っていて「知らない選手のサインカードはまとめて保管してある」という人は、一度そのストックを確認してみるといいだろう。もしかしたらシンデレラボーイのカードがそこに眠っているかも知れない。
これまでラプターズの選手の話ばかりしてきたが、ウォリアーズのステフィン・カリーも要注目だ。彼の選手としての評価、そしてカードの評価はもはやこれ以上無いというレベルまで上がっているが、それでも3連覇は特別な出来事である。怪我人が続出しているウォリアーズにおいていつもの陽気さをかなぐり捨て気迫を前面に押し出してプレイするカリーの姿は見る者に感銘を与えており、もし3連覇を成し遂げそして自身初となるファイナルMVPを獲得するようなことがあれば、彼のカードの価値はもうワンランク上の領域に到達すると思われる。
これまで色々と書いてきたが全ては結果が出てからの話。我々ファンとしてはどんな結果が出るのか、その過程を楽しみながら見守っていきたい。
soma【ライター/イラストレーター】
長年カード関連の企画・出版物に記事を寄稿しているライターであると共に自身も90年代初頭から四半世紀に渡りカード収集を続けているカードコレクター