「わくわく動物ランド」というテレビ番組が好きだった。預かっていた猫の「ダイアナ」と「チャールズ」は飼い主の元に帰っていった。ペットを飼いたいが、なかなか、ふんぎれない。というわけで、ボクのコレクションもMLB選手が動物と一緒になったバブルヘッドが増えている。
選手とペットのツーショットのバブルヘッドは多い。今季も、ダニー・ダフィー投手(ロイヤルズ)とマイク・フォルティネビッチ投手(ブレーブス)が愛犬と一緒にバブルヘッドになった。MLBで愛犬と言えば、マージー・ショット元オーナー(レッズ)である。ボクも野茂英雄さんの取材でシンシナティを訪れた際、試合前の練習で球場に愛犬「ショッツィー」とともに登場した際には驚いた。ショットさんは99年限りで球団を売却。名物オーナーだったショットさんと、自身の名前から名付けた「ショッツィー」のバブルヘッドは04年に亡くなった後、90年のワールドシリーズ制覇を記念して作られた。
デビッド・プライス投手(レッドソックス)と愛犬バブルは16年に配布された。この年、史上最高額の7年総額1700万ドルでトロント・ブルージェイズからボストンに迎えられた左腕。開幕投手も務め17勝をあげエースとしての期待通り、バブルヘッドも作られた。マウンドでの気迫満点の表情とは対照的に満面の笑みで愛犬と一緒にフィギュア化された。
犬以外の動物で多いのが馬かもしれない。そこはカウボーイの国、アメリカらしい。とくに、テキサスに本拠地を置くレンジャーズとアストロズは積極的だ。
レンジャーズの代表的な愛馬バブルはルーグネット・オドーア内野手。生え抜き選手として人気も高い二塁手は、今季も含め、いくつかのバブルが作られているが、18年の乗馬バージョンに勝るものはない。レンジャーズ傘下の3Aラウンドロック・エクスプレスが配布したノーラン・ライアン元投手も愛馬にまたがっている。ライアン氏の息子でもあるリード・ライアンオーナーが設立し、父親のニックネームにちなんだエクスプレスでフィギュア化された。
アストロズではカルロス・リー内野手。MLB通算359本塁打を放ち、パナマ代表としてWBCにも3大会連続で出場したスラッガーはアストロズに移籍した07年にスペイン語のニックネーム「Ele Caballo(馬)」通り、馬に乗ったバブルが配布された。球団は2年後の09年に馬の玩具を手にしたバブルを制作。この年は、アストロズではニックネーム「ビッグ・プーマ」にちなみ、プーマの大きな手袋にしたランス・バーグマン内野手と、ニックネームシリーズが続いた。リーの場合、すでに乗馬シーンがバブルになっていたため、玩具になったのかも?今年は球場配布ではないが、球場限定でホセ・アルテューベ内野手の乗馬バブルが販売された。
鳥もいる。エドウィン・エンカーナシオン内野手(ヤンキース)は18年のインディアンス時代にペットのオウム「バローズ」を手にしてバブルヘッドに。このポーズはエンカーナシオンが本塁打を放ちダイヤモンドを一周する際のお決まりのポーズでもある。
ジェームズ・パクストン投手(ヤンキース)も18年のマリナーズ時代に鷲を肩に乗せてバブルヘッドになった。この年、ノーヒットノーランも達成した左腕だが、4月にはツインズの本拠地ターゲット・フィールドで、試合前に国歌斉唱の際にパフォーマンスで解き放たれた鷲がこの日の先発だった同投手の右肩に止まるハプニング。同投手はそのまま、先発し6回まで無失点、7回に同点2ランを浴びたがまずまずの好投を見せた。きっと、その瞬間は怖かったはずの同投手ではバブルヘッドでは仲良さそうにフィギュアになった。エンカーナシオンもパクストンも今季はヤンキースで断トツの地区優勝に貢献したのも何か、因縁めいていて面白い。
17年のマイク・ラム外野手(ダイヤモンドバックス)の、名前と同じラム(羊)とのバブルヘッドも笑ったが、まさか、大蛇とのツーショットのバブルが配布されるとは誰も思わなかったに違いない。16年にロイヤルズ傘下の1Aレキシントン・レジェンズが同チームのグレン・ハバードコーチのバブルヘッドを制作。84年のフレア社のトレーディングカードをフィギュア化したバブルは何と大蛇が肩に乗っている。
ハバードコーチはブレーブスで活躍しオールスターゲームにも出場した二塁手。なぜ、大蛇との写真がカードになったか、は本人もわからないそうで、グラウンドに呼ばれた際にすでに大蛇が用意されていた。ハバードコーチはまさか、この写真がカードになるとは思わず、このカードが嫌いだった、という。ファンがサインを求め、封書にカードを同封してきても、自身が用意した違うカードにサインして送り返していたが、やがて、認めるようになった。このバブルも制作までに時間がかかったのはそれが理由かもしれない。
マイナー・リーグのチームはとりわけ、ユニークなバブルがある。マディソン・バムガーナー投手(ジャイアンツ)は17年に当時、ジャイアンツ傘下(現在はナショナルズ傘下)の3Aフレズノ・グリズリーズで球団マスコットの「グリズリー・ベア」とアームレスリングをしているバブルが作られた。
動物とのツーショットではなく、選手自身が動物と一体化したバブルもある。バイロン・バクストン外野手(ツインズ)はMLBを代表する俊足プレーヤー。17年に史上最速の13.85秒でダイヤモンドを一周して生還するランニング本塁打をはなった同外野手だが、ツインズ傘下のAAAロチェスター・レッドウィングスがかつて、同チームでプレーしたことを記念して配布したバブルヘッドは同外野手の下半身がピューマに。韋駄天ぶりを象徴したバブルヘッドなのだ。
最新では、今年、メッツ傘下の1Aブルックリン・サイクロンズがかつて、所属したピート・アロンソ内野手(メッツ)のバブルヘッドを配布した。ルーキーながら、オールスターゲームの本塁打競争で優勝し、MLB新人新記録の53本塁打を達成。そのパワーからついたニックネーム「ポーラーベア(北極グマ)」にちなんで、真っ白な熊にまたがっている。
MLBはレギュラーシーズンが終了。来年以降、どんな動物とのバブルヘッドが配布されるか、想像しながら、ポストシーズンの熱戦を見たい。
cove【ライター】
国内外のベースボールカードやコレクションアイテムを収集し続けて30年。元スポーツ紙ライター。