好きな選手をコレクションする。中々出現しないレアカードをGETする。カードを楽しむ方法は人それぞれです。それでは、もし、目的のカードとは違うカードが出現した場合にはどうでしょうか。カードショップに買取に出したり、知り合いとトレードを行ったりするのも手かとは思います。ただ、カードの価値はその場限りのものではなく、選手の活躍と人気に比例してプライスが上昇していくという事が往々にしてあります。そして、そのプライスの上昇過程を醍醐味として捉える方も少なくありません。
今回紹介をさせて頂くのは、2015年のリアルヴィーナスに収録されていた、当時としてはお世辞にも大当たりとは言えなかったけれども、今では日本を代表するアスリートへと成長した選手について。その選手の名前は福島由紀。バドミントン選手です。
リアルヴィーナスに収録された2015年。福島選手はまだ全国的に知られた選手とは言えませんでした。その為に直筆サインカードのプライスも中々付け辛く、店舗に入荷をしても特別高価な設定にはしておらず1,000円~2,000円程度で販売をしていた記憶があります。自分自身の先見性の無さが情けなくなりますね。何故なら福島選手は、リアルヴィーナスの収録から5年経った今、東京五輪出場最有力候補であり、金メダルも十分に狙える選手へと成長したからです。
風向きが変わったのはリオデジャネイロ五輪が開催された後の全日本選手権で準優勝を飾り、その翌年に初めて日本代表Aチームに選出された辺りから。廣田彩花選手とダブルスを組み臨んだ2017年3月の全英オープン2回戦で、五輪金メダリストペアである“タカマツ”こと高橋礼華&松友美佐紀組と対戦し見事勝利を収めます。勢いに乗った“フクヒロ”ペアは8月の世界選手権で決勝に初進出。この結果は日本人ペアとして1977年以来40年振りとなる快挙でした。年間成績上位者のみが出場出来るスーパーシリーズ・ファイナルでも準優勝を飾るなど目覚ましい活躍を見せた事が評価され、世界バドミントン連盟から「最成長選手賞」として表彰されました。
ワールドツアーで成績を残し、順調にランキングを上げていったフクヒロペアは2018年6月、ダブルス世界ランキング1位を初めて獲得。ここまで順風満帆に成長を続けてきたと思えるフクヒロペアにとって遠かったのがビッグタイトル。世界選手権には2017年から3年連続で決勝に進出しているにも関わらず、いずれも準優勝。安定感はあるけれども勝負弱い。シルバーコレクター。そう揶揄する声を払拭し、殻を打ち破ったのが2020年3月の全英オープンでした。
全英オープンは1899年に第1回大会が開催されて以来、2020年で110回目。1977年に世界選手権が創設されるまでは、この全英オープンが世界選手権に代わる位置付けの大会でもありました。そんな伝統と格式ある大会でフクヒロペアは準決勝でタカマツペアを破り、決勝では中国ペアを相手に持ち前の粘り強さでラリーに持ち込みストレート勝ち。全英オープンでの優勝はフクヒロペアにとって初めてのビッグタイトルとなると共に、東京五輪代表の座を大きく引き寄せる事となりました。
この頃には既に福島選手の直筆サインカードは高騰の一途を辿っており、現在でも常時1万円を超えるプライスで取引が行われています。これはつまるところ、福島選手の実力が世間に広く認められ、東京五輪への期待感が高まっている事を意味しています。2020年4月までに発行された直筆サインカードは2015年のリアルヴィーナスに収録された2種類210枚(競技版150枚、私服版60枚)のみ。この希少性もコレクター心理をくすぐるものと言えますね。
2021年の東京五輪に於いて、前回大会のタカマツペアのようにメダルを獲得した場合、一体どれだけのプライスが付いているのか。福島選手の直筆サインカードを既にお持ちの方にはその上昇過程を是非とも楽しんで頂きたいです。
高橋高弥【MINT立川店 店長】
ミントチェーンの店長の中でもジャンルの幅広さとカードへの情熱は突出している。新潟出身、元アイドリング!!!サポーター。