金12、銀8、銅21。合計41個。2016年のリオデジャネイロ五輪は、日本がそれまで参加をしてきた五輪の中で最も多くのメダルを獲得した大会でした。数多くの感動的な試合の中でも特に印象に残っているのが卓球女子団体、シンガポールとの3位決定戦です。2勝1敗で迎えた第4試合。勝てば銅メダルという痺れる場面に登場したのは当時チーム最年少の15歳で団体戦メンバーに抜擢された、伊藤美誠選手。
シングルス世界ランキング4位の強豪を相手に危なげない試合運びをみせ、3-0のストレート勝ち。ロンドン五輪での団体銀メダルに続く2大会連続でのメダルを日本にもたらしました。
2021年の東京五輪は3大会連続での団体メダル獲得は勿論、金メダル獲得をも目指せる状況にあります。何故なら今回の日本女子卓球チームは史上最強の布陣で臨める為です。2020年4月時点の世界ランキングを確認してみると、中国勢が上位を独占している状況に変わりはないものの、東京五輪代表に選ばれた3選手のランキングは11位に平野美宇選手、9位に石川佳純選手、そして2位に伊藤選手が入り、国別ランキングでも中国に次いで2位に付けています。
特にこの4年間での伊藤選手の活躍は凄まじく、2017年の世界選手権ダブルスでは日本勢として16年振りとなるメダルを獲得。2018年、2019年の全日本選手権ではシングルス、ダブルス、混合ダブルスの3冠を達成。2020年の全日本選手権ではシングルス決勝で早田ひな選手に敗れるも、ダブルス、混合ダブルスで3連覇を果たしました。中国勢との成績を見てみても、2018年以降の国際大会決勝に進出した際の対戦成績は3勝4敗と、堂々たる成績を収めており、中国メディアからは畏怖の念を込め“大魔王”と呼ばれるようになりました。
日本女子卓球界の絶対的エースへと成長した伊藤選手のカード化は、既存のトレカファンのみならず、卓球ファンからも非常に多くの待望論がありました。そしてその願いが遂に実現したのが2019年10月発売の『2019 BBM INFINTY』という、全てのスポーツからスター選手のみを厳選した人気シリーズ。直筆サインカードの収録枚数は選手によって異なっており、プロ野球以外のスポーツ選手の殆どは85枚以上。それに対して伊藤選手の直筆サイン封入枚数は30枚のみ。この封入枚数は男子卓球の張本智和選手の30枚と並び、プロ野球以外のスポーツ選手ではシリーズ最少となる封入枚数でした。
現在の日本卓球界は地道な強化が実を結んできた事もあり、中国勢に対して全く歯が立たなかったという数年前の状況から確実に変わりつつあります。中国スーパーリーグへの参加、ワールドツアーの転戦、Tリーグの開幕、福原愛選手に憧れ卓球競技を続けてきた若い世代の選手達の台頭。そして何より、新規才能発掘と世界標準の選手へと育成する事を目的としたJOCエリートアカデミーの設立も大きな役割を担っていたと言えます。
そのJOCエリートアカデミーの6期生として2013年に入校し、同世代と切磋琢磨しながら才能を磨き続けたのが平野美宇選手です。
平野選手は母親とのマンツーマン指導で幼少期の頃から多くの大会で優勝するなど、最年少記録を次々と更新。10歳9ヶ月で出場した2011年の全日本選手権一般では、福原愛選手の持つ最年少勝利記録を11大会振りに更新し、“第二の愛ちゃん“として一躍全国にその名を知られる存在となりました。
早くから実力を開花させ注目を集めていた平野選手ですが、リオ五輪の代表選考では石川選手、福原選手、伊藤選手に次ぐ4番手。大会にはリザーブという立場で同行し、裏方としてチームのサポートに徹していました。その経験を糧に、リオ五輪後のワールドカップでは日本人選手として初めて、そして大会最年少となる16歳で優勝。2017年1月の全日本選手権決勝では石川選手を破り初優勝。続く4月のアジア選手権でも中国トップクラスの選手を相手に3連勝で初優勝を飾るなど順調に成長を続け、迎えた東京五輪の代表選考。最終盤まで石川選手と争い、僅かなポイント差でシングルス代表の座を逃す事となりましたが、団体戦メンバーとして五輪代表に初選出。リザーブとして仲間たちの銅メダル獲得を目にした前回大会での悔しさを、東京五輪では全てぶつけて欲しいものです。
今回紹介をさせて頂いたカードは平野選手にとって、『2019 BBM INFINITY』に次いで2度目のカード化となる『2020 BBM シャイニングヴィーナス』に収録されていた通常版直筆サインカードです。この通常版直筆サインカードは51枚、それ以外にも私服版直筆サインカードが30枚、ルーキー限定版直筆サインカードが15枚と、平野選手の直筆サインカードは合計96枚封入されています。
この収録枚数だけを見た時には幾分引き当て易いのではと感じられるかと思いますが、『2020 BBM シャイニングヴィーナス』に収録の他の選手の直筆サインカードは通常版だけで100枚を超える場合もある為、平野選手の直筆サインカードが引き当て易いというわけでは決してありません。選手個々の直筆サインカード出現率だけを見た時には寧ろ、最も引き当て難いカートンヒットクラスの直筆サインである事がわかります。
東京五輪で金メダルを争う上でライバルとなるのは勿論、中国に他なりません。1988年のソウル五輪で卓球が正式種目として採用されて以降、リオ五輪を含めて女子シングルスでは8連覇。2008年から採用された女子団体でも負けなしの3連覇と、まさに敵無しの状態。ただ、日本女子卓球史上最強チームの3人であれば、中国という高く聳え立つ壁を乗り越える事は可能であると信じています。一人では掴めないかも知れない金メダルも、三人で、チームであれば掴み取れるはずですので。
高橋高弥【MINT立川店 店長】
ミントチェーンの店長の中でもジャンルの幅広さとカードへの情熱は突出している。新潟出身、アイドリング!!!ファン。