株式会社エポック社(本社・東京都台東区、代表取締役社長・前田道裕)は10月13日、「2020 JLPGA OFFICIAL TRADING CARDS(日本女子プロゴルフ協会オフィシャルトレーディングカード)」の制作を発表した。発売は11月28日を予定しているが、発売前から早くも注目を集めており、トレカ業界へ新しい旋風を巻き起こしそうだ。
ゴルフは性別、年齢に関係なく楽しめるスポーツで競技者人口も多い。プロのツアーの観戦者も多く、女子プロゴルフは女子スポーツの中でもファンが多い種目のひとつだ。さらに最近では98~99年生まれの渋野日向子、勝みなみ、畑岡奈紗をはじめとした「黄金世代」、2000年度生まれの安田祐香、吉田優利らの「ミレニアム世代」と人気の若手プロが多く、登場。実力と美しさを兼ね備えたイ・ボミ、アン・シネ、ユン・チェヨンら韓国人プロも加わり、勝負の世界の厳しさに、華やかさを醸し出している。
女子プロゴルフのトレーディングカードは、2011年にBBMが発売したカードセット「FAIRY ON THE FAIRWAY」があるが、それ以降は、同社の女子アスリートカードに三浦桃香、アン・シネらが封入されただけだった。長らく、スター選手が少なかったことと、版権獲得の難しさがあったことがカード化の妨げになってきたようだ。エポック社では、数年前からカード化を企画し続けていた、という。さらに、新型コロナの影響で無観客でのツアー開催が続く女子プロゴルフ界を少しでも盛り上げたいという思いがJLPGAと女子プロたちに届き、カード制作に結び付いた。
今回のカードにリストアップされた選手は75人。「黄金世代」「ミレニアム世代」とともに、2019年の最終プロテスト合格者を2020ルーキーとして選出。レギュラーカード75種とホログラフィカカード35種。シリアルナンバー入りで、パラレル版もある全選手、75種の直筆サインカード「オーセンティックオートグラフカード」のほかに、ウエアカードやグローブカードの22種の「ウイナーズメモラビリアカード」も封入される予定だ。エポック社では毎年の定番アイテムにしたい意向で、その初年度版としても特別な意味を持つカードになる。
定番化については、今回の2020年版がどこまで売れるかが大きなカギを握るが、スポーツ紙が記事で取り上げるなど、トレーディングカードとは無縁だった購買層への露出も進んでいる。ツアー観戦者は特定の女子選手のプレーを見るだけでなく、成長を見守る=応援するというサポーター的な感覚がある。ゴルファーの応援グッズはこれまで少なかっただけに、トレーディングカードは新しいアイテムになる。
来年以降は購買者を飽きさせないために、新しいスター選手の登場を待つだけでなく、ウエアやグローブに加え、キャップやシューズ、マーカーなどメモラビリアの工夫やデュアルオート、トリプルオートなどサインカードの多様化などが求められるだろう。レギュラーカードもツアー初日前夜のレセプションでの着物姿や、プライベートの私服の写真を使ったバージョン違い、チェキカードなども登場するかもしれないが、女子プロ野球カードなど女子プロスポーツカードの制作には定評と実績のあるエポック社に期待したい。
もちろん、女子ゴルフファンだけでなく、従来のカードコレクターも注目を寄せている。各カードショップにも問い合わせが寄せられており「店頭にあるだけ、開封したい」と話しているコレクターもいる、という。パックを開けてレアカードを充てることを楽しむ「オープナー」たちにとって魅力は十分すぎる。渋野の初サインカードは、NPBロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手のサインカードなみのプレミアがつくかもしれない。ほかの人気選手も初のサインカードが多く、ネットオークションをはじめ、トレカ市場を賑やかすのは間違いない。韓国人選手のカードには韓国を含めたアジアからの投資もありそうで、いきなりグローバルな商品になる可能性もある。
cove【ライター】
国内外のベースボールカードやコレクションアイテムを収集し続けて30年。元スポーツ紙ライター。