ルーキーカードの高騰が止まらない。元来、人気のあったルーキーカードだがMLBのマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)、NBAのルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)がさらに火をつけた。そして、サッカーはキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)である。アーリング・ハーランド、ジェイドン・サンチョ(ともにボルシア・ドルトムンド)の若手選手のルーキーパラレルが、あのリオネル・メッシ(FCバルセロナ)の直筆サインカードよりも高値で売買されるほどの現象を作ったのは間違いなくエムバペなのである。
「Mbappe」とつづって、エムハペ。日本ではムバッペ、エンバペ、エムバッペといろいろ、発音があってややこしい。彼のルーツであるカメルーンの言語とフランス語の発音の違いが関係しているらしい。それでも、彼のプレーを見れば、そんなややこしいことはちっぽけな問題になってしまうから不思議だ。初速からMAXのドリブル、嗅覚抜群のシュートセンス、故障のない頑強さ…スピードとパワーだけではない。誰もが虜になるスター性、カリスマ性も天性のものだ。
エムバペ(ここではそう呼ぶ)がトレーディングカードでもスーパースターになったのは19年だろうか。サッカーカードは他のプロスポーツ以上にブレークまでに2、3年の時差がある気がする。ASモナコからレンタル移籍していたパリ・サンジェルマン時代の2018年、フランス代表として出場したFIFAワールドカップロシア大会では予選リーグ第2戦のペルー戦で得点を決めた。19歳183日でのW杯初得点は、フランス選手の歴代最年少記録であり、ロシア大会に出場した全選手の中でも最年少得点記録だった。クロアチアとの決勝戦ではペレ以来、60年振りとなる10代での決勝ゴールを決めてチームを20年ぶりの優勝に導き、最優秀若手選手賞に輝いた。
この時の雄姿がトレカになったPANINI「2018 Prizm World Cap」の市場価格がすごいことになっている。ミントモールでは「Silver Prizm」のPSA 10を1,500,000円で販売しているが、近い将来、この金額で手に入れられて良かったと思える日が来るかも知れない。
ちなみにPANINI社は同じフランス代表でも、2016-17年シーズンにボルシア・ドルトムントでプレーしたウスヌマ・デンベレ(現・FCバルセロナ)を当時、イチオシ選手としてプッシュしていたが「先見の明」がちょっとだけ早かった。デンベレもスター選手だが、エムバペほどのスーパースター選手ではなかった。デンベレのルーキーカードも市場価格を上げたが10,000円前後だろう。これを考えても、エムバペのすごさがわかる、ということだ。
エムバペのトレカにはまだまだ、夢がある。直筆サインカードが今のところ、作られていない。いつ、どのブランドに直筆サインカードが封入されるのか、どんな価格がつくのか、それを考えるだけでもエムバペなみのスピードで時間がすぎていく。
安野弘道【MINT浦和店 店長】
サッカーとサッカーカードの知識はミントでもナンバーワン。こだわりの選手を応援している。元デンマーク代表ヨンダール・トマソンをきっかけにACミランを好きになり、以降20年ミランを応援している.