BBMカードセット2021「惜別」が発売されました。「惜別球人」のタイトルで毎年、NPBを前年限りで現役引退した選手を集めてきた恒例の企画セット。今年は野球に限定せず、他のスポーツ界にも枠を広げて、現役を引退したアスリートたちのトレーディングカードを封入した豪華な内容になりました。私事ながら2月16日に長男が誕生。その直後の発売で、「惜別」は我が子のようにこれからも見守り、育てていきたいセットになりました。
その「惜別」の中に、ボクが最も注目する人がいます。
岩隈久志さん?
藤川球児さん?
ボクシングの八重樫東さん?
サッカーの中村憲剛さん?
大相撲の豪栄道豪太郎さん?
いえいえ、競馬の四位洋文さんなんです。
実は四位さん、JRA(日本中央競馬会)所属の騎手としては初となるBBMからのトレーディングカード化で、貴重な30枚限定の直筆サインカードも封入されています。
これまで、BBMさんでは競馬の騎手として、オールスポーツの「インフィニティ―」と「平成」で、「大井の帝王」的場文男さん、「川崎のレジェンド」佐々木竹見さん、女性は「シャイニングヴィーナス」で名古屋競馬所属の木之前葵さん、「Fusion」で水沢競馬所属のの関本玲花さんがカード化、直筆サインカードになっていますが、JRA所属の騎手では初めてなんです。
四位さんはJRA通算13919戦で1586勝。重賞では76勝、GⅠでは15勝をあげ、昨年2月20日で騎手を引退。同年12月21日から粟東所属の調教師になりました。
四位さんと言えば、やっぱり、2007年の「ウオッカ」の日本ダービー制覇でしょう。GⅠ通算7勝をマークし「史上最強の牝馬」と呼ばれた「ウオッカ」とのコンビで、牝馬として64年ぶり3頭目となる日本ダ―ビーでの勝利を飾りました。この年の10月にはアサクサキングスで菊花賞を制し、96年のイシノサンデーでの皐月賞と合わせ、史上17人目の三冠競争すべてに勝利となったのです。しかも、日本ダービーと菊花賞を違う馬で勝利したのは史上初という偉業でした。
さて、「惜別」に話を戻すと、ボクが勤務するミント渋谷店でカートン開封してくださったお客様がいらっしゃいましたが、四位さんの直筆サインカードは姿を見せず…。何せ、岩隈さんらの29枚限定に次ぐ少なさの30枚限定ですから、なかなか、出てきません。四位さんの直筆サインカードを目当てに、非常事態宣言の中、ご来店してくださるお客様もいらっしゃるようで、ボクもうれしくなります。
毎年、「惜別球人」が発売される度に、思っていたことがありました。そして、今年は「惜別」を手に取って思いました。
確かに華々しかった現役時代との別れは惜しいけど、ここから始まるストーリーもあるのです。
四位さんは調教師になりました。これから、どんな素晴らしい馬を調教していくのか、40歳にして初めて子育てに挑戦するボクと勝負です、と勝手に思っています。長男がトレカのことがわかるように大きくなったら、四位さんの直筆サインカードを見せて、お前が生まれた時に発売されたトレカなんだよ、お父さんのライバルなんだよ、と話したいと勝手に思っています。
岩隈さんはMLBシアトル・マリナーズの特任コーチになりました。藤川さんは評論家として今、各球団の春季キャンプを回っています。
「惜別」に封入された37人は、第二の人生で新しい人や夢との出会いもあるでしょう。ようやく、日本でも医療従事者へのワクチン接種が始まりましたが、まだまだ、不安の多い世の中です。だからこそ、「惜別」には明るい希望の光が見える気がします。
そういう訳で、ボクは「惜別」と、そこに封入された四位さんの直筆サインカードをおススメします。
中川良太【スポーツ&カードゲームバー MINT SHIBUYA店長】
小学生時代からトレカにはまり30年以上。トレカショップの常連からスタッフに。ラッパーとしても活躍中。