昨季のサイ・ヤング賞投手でMLBシンシナティ・レッズからFAとなっていたトレバー・バウアーが2月5日、ロサンゼルス・ドジャースと契約合意した。大リーグ公式サイトによると、契約内容は3年1億200万ドル(約108億円)。今季の年俸は史上最高の4000万ドル(約42億3000万円)、22年は4500万ドル(約47億6000万円)となった。
「鬼才」と呼ばれるバウアー。ユーチューブ、ツイッターで遠慮なく意見を発信。「本職」の野球では独特の理論とトレーニング法で一目置かれている。降板指令に怒り、マウンドからバックスクリーンへ首脳陣に渡すボールを投げ込んだこともある。ドローンでケガをした、などエピソードに欠かせない。そんな「鬼才」らしく、昨季のワールドシリーズを制した世界一球団との合意を自身のユーチューブチャンネルで発表した。
2011年のMLBドラフトでアリゾナ・ダイヤモンドバックスから1巡目全体3位で指名され、12年にデビュー。クリーブランド・インディアンス時代の15年からレッズに移籍した19年まで5年連続2ケタ白星をあげた。新型コロナウイルスの影響で60試合の短縮シーズンとなった昨季は11試合で5勝4敗も最優秀防御率となる1.73。その剛腕ぶりで、ダルビッシュ有(カブス、現パドレス)とサイ・ヤング賞を争った。
今オフのFA投手で最上位にランクされていた。来日して横浜DeNAベイスターズの施設を見学するなど、親日家としても知られ、移籍先にNPB球団も選択肢に入っていることを公表し、日本のMLBファンもその去就に注目していた。
バウアーのトレーディングカードを巡る動きは正直だった。前日にはバウアーの代理人であるレイチェル・ルーバ氏が「移籍先は2球団に減った」とツイート。米メディアが「ニューヨーク・メッツか、ドジャースか」と東海岸と西海岸の人気名門チームの名前を報道すると、米オークションサイト「ebay」でのトレカの取引が急増。2月1日は0件、2日は3件、3日は2件だった落札が4日に19件と急増。ドジャースと合意した5日は一気に50枚のトレカが落札された。
トレカ的にはバウアーはスーパースターではない。最近の最高落札額はルーキーカードでもある2011「Bowman Chrome」の「Purple Refractor 」BGS鑑定10点満点(サイン9.5点)の608ドル(約64,000円)だ。今回の50件の落札数急増の理由は、移籍先がドジャースだったため、とみられる。4日にニューヨークのファン、コレクターが動き、5日にはロサンゼルスのファン、コレクターが動いた。ともに大都市だけにファン、コレクターは多い。全国区のチームなので、さらにその数は多いのだろう。
MLB現役投手でトレカ人気が最も高いのはバウアーの移籍先となったドジャースの左腕エース、クレイトン・カーショウだろう。左右の両輪がそろったドジャースは、ダルビッシュら大型補強を敢行し一躍、ワールドシリーズ進出の最有力候補になった同じナ・リーグの西地区のサンディエゴ・パドレスの勢いを制して連続世界一も見えてきた。バウアーが2年連続サイ・ヤング賞を獲得する活躍でドジャースの連覇に貢献すれば、トレカ市場でもカーショウに並ぶ地位を得るかもしれない。
トレカジャーナル編集部