MLBサンディエゴ・パドレスの春季キャンプに招待選手として参加している加藤豪将内野手は3月9日、対シカゴ・ホワイトソックス戦で2打数1安打を記録し、オープン戦の打率を10打数4安打の4割に乗せた。13年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースから2巡目(全体66位)指名後に作られたルーキーカードも再び、脚光を浴びている。
26歳の加藤は日本人の両親を持つが、カリフォルニア州マウンテンビューで誕生。3歳で来日し6歳まで神奈川県で過ごし、再渡米してから米国で暮らしている。日本国籍を持つ選手としてはMLBドラフトで初めて全体100位以内で指名された。
突然の指名、しかも、あのヤンキースからの2巡目指名である。日本のMLBファンは驚き、大きな称賛を送った。身長188センチの大型内野手。ヤンキースのスーパースター、デレク・ジーターに例えて「ジーター2世」と呼ぶ人もいた。そうなると、カードコレクターは加藤のトレカが欲しくなる。
加藤のルーキーカードはPANINI「PRIZM DRAFT PICK」やLEAF「TRINITY」のほか、TOPPSも発行。「BOWMAN」「BOWMAN CHROME」「BOWMAN DRAFT」「BOWMAN STERLING」「PRO DEBUT」など、加藤に対する期待の高さから、数多くのブランドに収録された。
サインカードも発行当時は人気を集め、日本でも20,000円前後で取引されていた。それでも、米国では星の数ほどいるマイナー選手のひとり。まだ、市場価格もそれほどではなかったため、ボクも「ebay」で落札しまくった記憶がある。
右打ちだった加藤だが、7歳の時にサンディエゴで観戦したパドレス-マリナーズ戦で見たイチローに憧れ、左打ちに挑戦。スイッチヒッターになった。ドラフト後にはエンゼルス・マリナーズ戦の試合前にイチローと対面。ヤンキースではメジャーとマイナーの違いこそあれ、チームメートになり、自主トレをともにすることもあった。ヤンキースから19年オフにマイアミ・マーリンズへ移籍。入れ違いにはなったが、奇しくもこれもイチローと同じ経歴となった。
残念ながら、19年までメジャー昇格はなし。昨季はマイナー・リーグの試合が開催されなかった。今季は6歳から暮らし、出身校のランチョ・バーナード高もある、サンディエゴに本拠地を置くパドレスとマイナー契約を結び、春季キャンプに招待されている。
3日の対ブルワーズ戦で3ラン。5日の対ドジャース戦で2点適時打を放ち、オープン戦通算打点を5とし、フェルナンド・タティース・ジュニアを抜き、チームトップに立った。プロ入り時は二塁手だったが、今では内、外野をこなす。パドレスの野手陣はタティース・ジュニアをはじめ、層が厚いがバットで好アピールが続く。
昨季は14年ぶりにプレーオフに進出したパドレス。大型補強で同じナショナル・リーグ西地区で、ワールドシリーズ連覇を目指すロサンゼルス・ドジャースの対抗馬になった。開幕投手も噂されるダルビッシュ有ばかりに注目が集まるが、同じように今季からパドレスのユニホームに袖を通したもうひとりの日本人選手からも目が離せない。
「ebay」では2月はわずか1件だった加藤のトレカの落札歴が、3月には10日までで早くも4件に。そのうち、3件は直筆サインで入札件数も20件前後、約4,500円~6,000円に高騰。開幕メジャーどころか、初のメジャーでのプレーを目指す加藤の奮闘ぶりでそのトレカも再び、動き始めている。
Cove(ライター)
国内外のコレクションアイテムを集めて30年以上。バブルヘッド収集ではその量と、どうでもいいネタで日本一を自負している。元スポーツ紙ライター