MLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が4月24日の対ヒューストン・アストロズ戦で「三刀流」を実現した。8回裏に指名打者から、左翼を守り、自身メジャー初の外野守備についた。
11点の大差をつけられた8回無死、二塁。ジョー・マドン監督はこれ以上、投手を起用することをあきらめ、左翼を守っていたアンソニー・ベンブームをマウンドへ。捕手登録のベンブームは、投手として登板した経験もあった。だが、ベンチに残っている野手は前日の試合で死球を受けこの日の試合を欠場していたマイク・トラウトだけ。その状況を見た大谷が自ら、左翼守備を志願した、という。
大谷が外野を守るのは、プロ入り2年目、北海道日本ハムファイターズ時代の2019年4月13年の対福岡ソフトバンク戦に「3番・左翼手」で先発出場して以来だった。俊足、強肩の大谷がどんな守備を見せるのか、興味津々だった敵地ミニッツメイドパークのアストロズファン。意外な形で彼らを拍手させることになった。
「代わった選手に打球が飛ぶ」という球界の定説通りに、最初の打者、カイル・タッカーの打球は左翼へ飛ぶ。残念ながら、そのまま、大谷の頭上を越えスタンドイン。ところが、ホームランボールははねかえり、グラウンドに戻ってきてしまった。大谷はそのボールを拾うとまた、スタンドへ投げ入れた。さらに、その後、ファンがグラウンドに落としてしまったサングラスをスタンドに投げ入れて返してあげた。1度目は失敗したが2度目で成功。拍手が起きた。
実際の打球処理はマイルズ・ストローの左翼線の二塁打を処理して、ゆっくりと内野に返しただけだったが難なくこなした。今回、左翼を守ったことを「三刀流」と呼ぶか、は微妙だが、これでマドン監督の大谷起用に関する選択肢が広がったことは事実。NPBではルーキーだった2013年に「5番・投手」から右翼へ、「5番・右翼手」からマウンドに上がった2試合の「リアル三刀流」の経験がある。MLBでもその可能性を見せた。
この試合で6号を放った背番号17は、翌25日にはア・リーグトップに並ぶ決勝の7号を放った。26日は投手として登板するが、リーグ首位の本塁打数で先発する選手は1921年6月13日の対デトロイト・タイガース戦でのベーブ・ルース以来となる。
24日の左翼守備だけでなく、最近はトレーディングカードになりそうなシーンを連発する大谷。21日の対テキサス・レンジャーズ戦では今季5号ソロで日米通算100本塁打を達成。それだけでは終わらない。そのベースランニングでは照れくさかったのか、全力疾走。スタットキャストによると、今季のMLBの本塁打で最速の17.3秒でダイヤモンドを駆け抜けた。記録づくしのMLBとスタットキャストだが、まさか、こんなタイムまで計測しているのか、とファンを驚かせるおまけまでついた。あまりのスピードにトレカにする写真は撮れなかったかもしれないが…。
「リアル二刀流」はカードにしたオンデマンドの「TOPPS NOW」も、投手から外野の守備に入れば、黙っていないだろう。今後、発売されるTOPPS「SERIES2」や「UPDATE」、さらにほかのメーカー、ブランドでもカード化されるシーンは次々に続くかもしれない。メジャー4年目、今季のショーヘイ・オオタニはトレカ業界にとっても本物のスーパースターになる。
トレカジャーナル編集部