MLB大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)が5月11日、対ヒューストン・アストロズ戦でリアル三投流を実現した。「2番・投手」で先発出場したこの試合で7回を4安打1失点に抑え、10奪三振の快投を見せると、8回から右翼の守備に入った。史上3人目の快挙で、トレカの世界にも大きな影響を与えることになった。
2勝目を目指し今季5度目のマウンドに立った大谷は、4月4日の対シカゴ・ホワイトソックス戦以来2度目となる「2番・投手」のリアル二刀流での出場となった。7回表の第3打席で右前安打をマークすると、その裏まで投げ今季最長となる7イニングで強打のアストロズ打線から自身3年ぶりの2ケタとなる10三振を奪い、1点に抑えた。
投手としてはここでお役御免となったが、グラブを替え右翼の守備位置へ走った。指名打者から左翼に入った4月24日の対アストロズ戦に続く自身2度目のMLBでの外野守備。しかし、投手として10三振以上を奪って、その試合で投手以外の守備位置についた選手はとしては1952年のハーベイ・ハディックス、1970年のサム・マクダウェルに次いでMLB史上3人目の快挙となった。ベーブ・ルース(ニューヨーク・ヤンキース)は7試合、大谷も北海道日本ハムファイターズで2試合、経験したリアル三投流だった。
右翼ではアレドミス・ディアス内野手の右前安打を処理し、ファウルを追いかけるなど、難なくこなした。
この快挙にオンデマンドカードの「TOPPS NOW」が即座にトレカ発売を決定した。
三投流の完成で、大谷の選手登録は「Pitcher」から「Two-Way-Player」になった。大谷の活躍でMLBが新しく導入したもので、2回1死まで登板したところで今季のイニング数が20イニングに到達。打者としての20試合のスタメン出場(1試合3打席以上)と合わせ、MLB初の「Two-Way-Player」登録へと切り替わった。今季は新型コロナ禍で除外されているものの、前年、もしくは当該年が対象で、13人の投手枠から外れることでもうひとり、投手を増員できる、というチームに恩恵をもたらした。
今回の「TOPPS NOW」裏面のポジション表記は「P/OF」(投手/外野手)のままだが、購入者の手元に届くものは「Two-Way-Player」に変更されるかもしれない。
さらに、この日、大谷の三投流カードを含めた新しいトレカを発表した「TOPPS NOW」だが、対ロサンゼルス・ドジャース戦で自己新の11奪三振を記録した菊池雄星投手(シアトル・マリナーズ)のカードも加わった。多くの日本人メジャーがプレーしてきたMLBで、2016年からスタートした「TOPPS NOW」でも日本人選手が同日に発売されるのは極めて珍しい。2019 年のオークランド・アスレチックスとマリナーズのMLB日本開幕2連戦で、現役引退を決めたイチロー外野手とメジャー初登板となった菊池があるくらいで、あるコレクターも「ほとんど記憶にない」としている。
菊池はこの試合で6回1/3を投げ6安打3失点。勝利投手の権利をもって交代したが救援陣が逆転を許した。今季2勝目をあげられなかったが、そんな中でも「TOPPS NOW」になったこともレアなケースだ。そして、菊池と大谷は、岩手県の花巻東高の先輩と後輩。同じ高校出身の選手が同じ日に「TOPPS NOW」になったことも、もしかしたら、初めてかもしれない。
トレカジャーナル編集部