MLBロサンゼルス・ドジャースが5月15日、タンパベイ・レイズとの交換トレードで筒香嘉智内野手を獲得したことを発表した。筒香は11日にメジャー登録の40人枠を外れ事実上の戦力外となっていた。また、ドジャースはロサンゼルス・エンゼルスからFAとなっていた通算667本塁打のアルバート・プホルス内野手との契約合意も発表した。人気球団への移籍で再び、ふたりのトレーディングカードも注目度が上がりそうだ。
誰がこの展開を予想していただろうか。この日の対フロリダ・マーリンズ戦の試合中に、筒香とプホルツの入団が発表されると、ドジャースタジアムの記者席は騒然となった、という。ここまでの米メディアの報道では、筒香の獲得に手を挙げる球団はなく、NPBへの復帰の可能性が高まっていた。古巣の横浜DeNAベイスターズも三原一晃球団代表が前向きなコメントを出するなど復帰に歓迎ムードだった。
ドジャースは、筒香がFAとなるウエーバー期間の終了を待たずに、トレードに動いた。それは、チームに必要な戦力と判断した、ということだ。ドジャースは主砲のコディ・ベリンジャー外野手ら故障者が続出。一、三塁、外野を守ることができる筒香の守備力を評価した。筒香がポスティングによるMLB移籍を決めた際には獲得を検討し(実際には入札には参加しなかった)、2016年に本塁打と打点の2冠に輝いた打撃にも高い評価を与えていた。
2年契約の最終年となる今季、筒香は26試合で打率.167、5打点、本塁打はなかった。その打撃不振とともに、戦力外の理由のひとつと言われている、チーム2番目の高年俸だった700万ドル(約7億7,000万円)のほとんどをレイズがこのまま負担し、ドジャースは最低保障年俸の57万500ドル(約6,200万円)を支払うだけで済む、という報道もある。レイズは交換要員として、後日発表される若手選手か、金銭を得ることができる、というメリットがある。
15日現在、ナ・リーグ西地区で3位のドジャースはワールドシリーズ連覇へ向け、新戦力として、筒香とプホルツに期待するものはあるだろう。だが、筒香には日本人選手として、41歳のプホルツには引退が近づくレジェンドとして、観客動員(今は新型コロナで制限されているが)と、グッズ販売など営業面での期待も大きいはずだ。
ドジャースではこれまで野茂英雄(2度)、石井一久、木田優夫、斎藤隆、黒田博樹、前田健太ののべ7投手と、中村紀洋内野手の合計8人の日本人選手がプレー。日本でもお馴染みの、米国でも人気の名門チームだ。「全国区」の人気チームの所属選手のトレカの市場価格が上がるのは定説で、今季はトレバー・バウアー投手がそれを証明している。昨季、シンシナティ・レッズでサイ・ヤング賞に輝いたバウアーはドジャースに移籍し、その投球内容に「ドジャース」という付加価値がついている。
ア・リーグから、指名打者制のないナ・リーグに移籍したため、故障者が復帰するまでは、一塁の定位置を争いそうな筒香とプホルツ。プホルツは今季、5本塁打を記録し、筒香はMLB1年目の昨季の短縮シーズンで5本塁打をマークした。夢のアーチ競演が実現すれば、夢のトレカが作られ、人気を集めそうだ。
背番号が「28」に決定した筒香は間もなく、憧れのMLB球団のひとつだった「ドジャーブルー」のユニホームに袖を通し、グラウンドに戻ってくる。
トレカジャーナル編集部