ホーナス・ワグナー内野手(ピッツバーグ・パイレーツ)の1909‐11「T206」がスポーツトレーディングカードの史上最高額を奪回した。米国の各メディアが報道した。
8月16日に締め切られた「ロバート・エドワード・オークション」で6,606,000ドル(約7億2600万円)にて売買された。26件の入札の結果、5,500,000万ドルで落札され、20%のバイヤーズプレミアム(手数料など)が加わり、総額6,606,000ドルの取引となった。出品者は「東海岸に住むコレクター」とだけ発表された。落札者の情報は今のところ、本人の希望により一切、明かされていない。
今年5月には「ゴールディン・オークションズ」にて3,715,000ドル(約4億493万円=バイヤーズプレミアム込み)で売買されていた。この「T206」の記録を更新しただけでなく、トレカの頂点に立った。
これまでのトレカ最高額は今年1月に売買されたTOPPS「1952 TOPPS」のミッキー・マントル外野手(MLBニューヨーク・ヤンキース)のルーキーカード、同4月に売買されたアッパーデック「2003‐04 Exquiste Collection」のレブロン・ジェームス(NBAクリーブランド・キャバリアーズ)のルーキーパッチオートが、ともに「PWCCマーケットプレース」で記録した5,200,000ドル(約5億4000万円)だった。
今回の「T206」は7月末にシカゴで開催された「ナショナル・スポーツ・コレクターズ・コンベンション」の会場で展示され、「ナショナル」史上2番目に多い約10万人の来場者にお披露目されていた。PSA、BGSと並ぶ3大グレーディング会社のSGCが3点と評価。PSA、BGS、SGCのレポートでは3以上の評価を受けているものは4枚しか存在しない、状態の良さ、という。
ワグナーの「T206」は史上初めて1億円を超えたトレカである。トレカが近年、高騰する以前からワグナーの「T206」はトレカの最高額を次々に塗り替えてきた。トレカ界の「「モナ・リザ」と呼ばれ「サザビーズ」「クリスティーズ」など、美術品も出品される有名オークションでも売買され、トレカの地位を上げた。
「ゴールディン」の創設者でもあるケン・ゴールディン氏によると「これまでに認証されているワグナーのカードは60枚未満。そのカードの数少ない所有者はその価値を理解しており、売りに出すことはめったにない」という。
ワグナー自身が販売を差し止めたため市場に出回る枚数が限られた。その理由については、「T206」がタバコのおまけとして作られたため、ワグナーが大切にしている子供ファンへの悪影響を心配したという説、たばこ会社からの報酬が少なかったことに怒ったという説、たばこ会社がワグナーに無断でカードを作成したことを許さなかったなど様々な説がある。
ワグナーは「史上最高の遊撃手」と言われ、通算3420安打を記録。タイトルは首位打者8回、打点王5回、盗塁王5回に輝いた。1936年に初めて決まった野球殿堂入り選手のひとりでもある。現役時代のユニホームには背番号がなかったが、コーチとして復帰した際に着けた「33」はパイレーツの永久欠番になった。
トレカジャーナル編集部