日本人選手としては2001年のイチロー外野手(シアトル・マリナーズ)以来20年振り2人目となるMLBア・リーグのMVPに輝いた大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)の大活躍で、トレーディングカード界も盛り上がった2021年。コロナ禍が続き、さらにトレカの価値が見直され、スポーツカードだけでなく、ポケモンや遊戯王などのゲームカードも高騰が止まらない。東京五輪も開催され、オールスポーツカードのBBM「2021 Masterpiece」も大ヒット。海外ではFANATICS社がMLBとトレカ制作・販売の独占契約を結ぶなど、各メーカーのライセンス争奪戦で、勢力図が一変した。トレカ界はまさに「激動」の1年となった今年を振り返る10大ニュース。まずは、10位から6位までを紹介する。
【10位】TOPPS社が同社初のNPBカードを発売
今回の10大ニュースで、3位にランクされるニュースとリンクして、TOPPS社が新たなる市場を開拓するべく、日本に進出。NPBとトレーディングカードの制作・販売に関するライセンス契約を結び、12月に同社初のNPBトレーディングカードを発売した。レギュラーシリーズとともに人気の「Chrome」も発売という一気呵成さ。これに先立ち、MLBの「Japan Edition」も発売された。契約期間は年内いっぱいだったため、来季の新商品が登場するかは不透明だが、楽しみな企画となった。
【9位】ミントが「Goldin Auctions」への出品代行サービスをスタート。約30000万円の落札額も
株式会社ミントは6月、米国大手オークションハウス「Goldin Auctions」と業務提携を結んだ。社会現象にもなりつつあるトレーディングカードの高騰が続く中、「Goldin Auctions」は業界をリードするオークションハウスとしての地位を確立している。コレクターはミントの出品代行サービスを利用して、容易に「Goldin」に出品が可能になった。ミントの新家達雄取締役COOは「数百万円から数億円のカードオークションを何度も成功させて来た実績を持つゴールディンオークションズとのパートナーシップによって、希少なカードをお客様がミントを通して容易に世界市場に送り出すことが出来るようになりました」とコメント。実際に、8月にはミントの出品代行サービスを利用したヤニス・アデトクンボ(NBAミルウォーキー・バックス)のルーキーカード、PANINI「2013-14 Prizm」の10枚限定ゴールドパラレル (PSA9)は270,600ドル(約2976万円)を記録した。日本に眠るレアカードが世界市場に送り出されるだけでなく、日本製のトレカも登場し、高落札額がついている。
【8位】トレカの発展にも貢献した大横綱・白鵬が現役引退
大相撲の第69代横綱・白鵬が9月、現役引退した。
7月の名古屋場所前から引退の意向を固めていたが、その名古屋場所で16度目の全勝優勝。通算45度の優勝、通算1187勝(幕内1093勝)といずれも歴代最多の大記録を打ち立てた。2007年夏場所後に横綱昇進して以来、3月に右ひざを手術するなど満身創痍の状態ながらも、横綱在位84場所は史上最長だった。八百長問題や自身も感染したコロナ禍に巻き込まれた相撲界を支えただけでなく、多くのトレーディングカードが制作され、人気を集めた。BBMの大相撲カードだけでなく、「Infinity」などのオールスポーツカードにも登場。野球カードでは始球式カードも作られた。カードへのサインにも協力的だった、という。
両国国技館のBBM売店では外国人来場者が白鵬のトレカを目的に相撲トレカを購入する姿が見られた。海外からのニーズを意識して、BBMでは英語と、海外のコレクターに人気の漢字をうまく組み合わせたデザインでカードを制作した。
【7位】F1カード人気の勢いが止まらず
TOPPS社のフォーミュラワン(F1)のトレーディングカードが注目を集めた。TOPPS社が昨年、F1とトレーディングカードの制作・販売に関するライセンス契約を締結。オンデマンドカードの「Topps Now」からDynasty」、そして「Chrome」へとヒット作が続いた。F1の2021シーズンは、最終戦となる12月の第22戦アブダビGP決勝でマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が最終ラップに逆転して優勝し、自身初のドライバーズチャンピオンに輝いた。さらに、この最終戦では今季から参戦した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が自己最高位となる4位に入賞。人気ナンバーワンドライバーのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)の去就も含め、来年もF1トレカは熱くなりそうだ。
【6位】NPBのルーキーが豊作! 佐藤輝は新人野手の最高額を記録
今年のNPBはセ、パ両リーグともルーキー、新人王資格者が豊作だった。とくに、ドラフト1位ルーキー、佐藤輝明内野手(阪神タイガース)が野手のルーキーカード最高額を更新するなど、トレーディング界を沸かせた。「ヤフオク!」で5月にEPOCH「2021 阪神タイガース ROOKIES & STARS」の20枚限定直筆サインカードが235,000円(消費税を含め258,500円)で落札された。NPB野手のルーキーカード最高額は2019年に記録された根尾昂内野手(中日ドラゴンズ)のBBM「2019 1stバージョン」の5枚限定クロス直筆サインについた155,000円だった。ともにシリアルナンバーはファーストナンバーだったが、根尾の記録を大きく更新した。それでも、佐藤輝はシーズンが進むに連れて徐々に失速。新人王には新人最多記録に並ぶ37セーブの栗林良吏投手(広島東洋カープ)と13勝をあげリーグ優勝に貢献した宮城大弥投手(オリックス)が選ばれた。佐藤輝は、サイクル安打を記録するなど勝負強い打撃を見せた牧秀悟内野手、高卒2年目で9勝を挙げたヤクルトの奥川恭伸投手と共にセ・リーグの新人特別賞を受賞した。
トレカジャーナル編集部