米大手オークションハウス「SCP Auctions」の最新回で、 ホーナス・ワグナー内野手(ピッツバーグ・パイレーツ)の1909‐11「T206」が475,960ドル(約5473万円)で売買された。ワグナーの「T206」と言えば、「トレカ界のモナリザ」と呼ばれ、昨年8月にはトレカ史上最高額となる 6,606,000ドル(約7億2600万円=バイヤーズプレミアム込み)にて売買された。その最高額に比較すれば、10分の1にも満たない額だが今回、売買されたものは半分に引き裂かれていた。
ワグナーの「T206」は、1909年にタバコのおまけカードとして販売されたが、本人からの申し出(その理由については様々な説がある)により、販売中止になり、市場には60枚未満しか出回っていない。
ワグナーは「史上最高の遊撃手」と評され、通算3420安打を記録。タイトルは首位打者8回、打点王5回、盗塁王5回に輝いた。1936年に初めて決まった野球殿堂入り選手のひとりでもある。現役時代のユニホームには背番号がなかったが、コーチとして復帰した際に着けた「33」はパイレーツの永久欠番になった。
そのカードの希少性に、ワグナーの選手としての人気が加わり、史上初めて1億円を超えたトレカとなった。トレカが近年、高騰する以前からワグナーの「T206」はトレカの最高額を次々に塗り替えてきた。「サザビーズ」「クリスティーズ」など、美術品も出品される有名オークションでも売買されたこともあり、トレカ界の「「モナ・リザ」と呼ばれるようになり、トレカの地位を上げた。
「T206」 は PSAが世界で初めてグレーディング鑑定をしたカードとしても知られており、今回の「T206」もPSAが点数はつけていないが、本物として専用のケースに入れている。
今回のカードが引き裂かれている経緯は不明だが、ほぼ半分になっている。それでも、18回の入札があり、最新回で出品された574アイテムの中で最も高い価格がついた。半分に引き裂かれていても5000万円を超えるとはやはり、「トレカ界のモナリザ」と呼ぶにふさわしいカードである。
トレカジャーナル編集部