FIFAワールドカップカタール大会のアジア最終予選もいよいよ大詰めだ。森保監督率いる日本代表は、初戦のオマーン、3戦目のサウジアラビアに敗れ、序盤の3試合を終えた時点で1勝2敗のグループ3位。2位のオーストラリアまでは勝ち点差6と、7大会連続出場に向け非常に厳しい状況に追い込まれていた。自動出場圏はグループ2位までであり、3位ではプレーオフに回らなければならないからだ。
4戦目のオーストラリア戦以後は持ち直して4連勝。グループ2位に浮上していた。2月1日に行われたグループ首位のサウジアラビアとの決戦は、日本代表にとって験の良い埼玉スタジアム2002での開催。その試合で、「イナズマ」と形容される持ち前のスピードを生かして右サイドを突破し、南野選手の先制ゴールをアシストするとともに、50分には豪快に強烈なシュートをゴール左隅に突き刺し、勝利に大きく貢献した伊東純也選手の活躍は素晴らしかった。この日のゴールでアジア最終予選では4試合連続ゴールとなり、今やサムライブルーの攻撃になくてはならない選手に成長したと言える。
伊東選手の経歴を見ると、決して順風満帆だったとは言えない。横浜F・マリノスジュニアユースの入団テストに不合格。地元の横須賀シーガルズジュニアユースでプレーし、その後、県立逗葉高、神奈川大に進学。2015年にヴァンフォーレ甲府に入団。宇佐美貴史や柴崎岳らに代表されるプラチナ世代と呼ばれる選手達と学年は重なるものの、世代別代表に選ばれる機会もなく、全国的にはそれほど注目はされていなかった。
2016年に柏レイソルに完全移籍を果たすと頭角を現し、ディエゴ・オリヴェイラ選手、クリスティアーノ選手と3トップを形成し、強力な攻撃陣の一角を担った。2017年には日本代表に初選出。2019年にはベルギーのKRCヘンクに移籍をすると、国内のリーグ、カップ戦はもとより、UEFAチャンピオンリーグにもデビューと、その評価はうなぎ登り。ヘンクとは2024年まで契約が延長された。
注目度急上昇中の伊東選手の直筆サインカードも、相場を見るとブレイクする前は、だいたい3,500円から5,000円程度。しかし、2021年は日本代表での活躍もあって、代表トレカの直筆サインは10,000円超えと大幅にアップ。さらに高騰する可能性もある。柏レイソル時代の直筆サインカードもそれに合わせて9,000円前後に相場は上がっている。
今後はアジア最終予選でのオーストラリア、ベトナムの残り2戦に加え、ワールドカップ本大会に出場をして活躍すると、さらにその相場は上がってくるに違いない。当然、ヘンクからヨーロッパのビッククラブの移籍ともなれば、ますます価格は上昇するだろう。
ともあれ、窮地に陥った日本代表の救世主とも言える伊東純也選手のカードは、大いに注目してもいいと思う。
Chief(ライター)
国内サッカーを中心にトレカの世界を長年に渡って見守って来た元スポーツ雑誌編集者。横浜F・マリノスサポーター。ラグビー、相撲にも造詣が深い。