メイトーブランドの協同乳業株式会社が1960年に発売した「ホームランバー」は、2020年に誕生60周年を迎えた。市販向けアイスクリームでは最長寿ブランドだそうだ。発売当初、高級品だったアイスクリームを1本10円という価格で販売したこともあり、爆発的なヒット商品になった。55年には長嶋茂雄選手(巨人)を広告に起用したこともあった。
その「ホームランバー」がトレーディングカードをおまけにつけていた。2018年5月、8本(レモン味4本、ソーダ味4本)入りのマルチパックに1枚入りのパックをひとつ、封入。商品名の「2018 セントラル・リーグ ホームランバー ソーダフロート」の通り、カードはセ・リーグ6球団から6人のスター選手をピックアップした全36種類。セ・リーグ限定なのは、当然、同じ食品(菓子)メーカーのロッテに配慮したものとみられる。
光をイメージしたデザインはかなりカッコよく、裏面のデータや寸評もしっかりと書き込まれ、凝った作りになっている。
日本初の「あたりくじ」つきアイスクリームだった「ホームランバー」にふさわしく、当たりカードの存在を示唆するようにパッケージにも「キラカードが入っているかも」の文章が記載されている。この年限りの商品で、かなりレアなカードとなったが、「ヤフオク!」や「メルカリ」などのネットオークションやフリーマーケットに出品されている。それでも、この「キラカード」はなかなか、お目にかかれない。
2018年は大谷翔平投手がMLBロサンゼルス・エンゼルスに移籍したルーキーイヤーである。二刀流フィーバーを巻き起こし、日本人選手では4人目の新人王に輝いた。日本ではレギュラーシーズン2位の福岡ソフトバンクホークスがクライマックスシリーズで10年ぶりにパ・リーグ優勝を飾った埼玉西武ライオンズを撃破して、日本シリーズに進出。巨人以外では初の球団3連覇を果たした広島東洋カープも4勝1敗1分けで下し、2年連続9回目の日本一に輝いた。
野球だけではなく、ほかのスポーツも歴史に残る1年で、サッカーのW杯で日本代表が決勝トーナメントに進出。平昌五輪では羽生結弦が66年ぶりの大会連覇を果たし、大坂なおみが全米オープンで日本人初の4大大会制覇。高梨沙羅がスキージャンプのW杯で歴代最多の45勝を挙げる、という偉業もあった。
そんな野球をはじめとするスポーツに盛り上がった1年ということも影響したのか、登場した「2018 セントラル・リーグ ホームランバー」。トレカになった36選手の中で、注目はこのシーズン限りで背番号を「1」に変えた鈴木誠也外野手の1枚。貴重な「51」のユニホーム姿のカードになった。鈴木のMLB移籍が決まり、活躍するようなことがあれば、海外でも脚光を浴びる1枚になるかもしれない。
トレカジャーナル編集部