史上初めて大リーグ傘下球団での女性指揮官となったタンパ・ヤンキース(ニューヨーク・ヤンキース1A)のレイチェル・バルコベック監督が4月9日、レイクランド・フライングタイガース(デトロイト・タイガース1A)との開幕戦に9―6で勝利した。
3月23日の室内練習で打球を顔面に受けて負傷したバルコベック監督だったが、元気な姿を見せ、一塁コーチにも立った。
敵地ながら、レイクランド側はこの日、1200枚の無料チケットを地元の女子スポーツ選手に配布。「ジョーカー・マーチャント・スタジアム」では「レッツゴー・レイチェル!」といった応援が沸き起こった。「このために10年間、準備してきた。こんなに名前を呼ばれたことは今までない。とても楽しかった」と話した。
試合後は選手たちにハグされ、サインを求めるファン全員にペンを走らせた。招待された1200人の女子選手には「今はピンとこないかもしれないけれど、やがてプロの選手になろうとするときには、この日のことを思い出すでしょう」とメッセージを送った。
34歳のバルコベック監督は大学時代、ソフトボールで捕手としてプレー。スペイン語ができる語学力を買われ、中南米出身選手の筋力強化や体調調整などを担当するストレングス・コンディショニング・コーディネーターとして、ヒューストン・アストロズのマイナー球団に招かれた。さらに、その能力の高さを評価され、18年には、コーパスクリスティ・フックス(アストロズ2A)のストレングス・コンディショニング・コーチになった。
アストロズ傘下のマイナー球団を退団後には、オランダのアムステルダムにある大学で、人体の動きの科学的分析をテーマに、運動科学で2つ目の修士号を獲得した。帰国後、カージナルス傘下のマイナー球団でもコーチを経験し、20年にはヤンキースのマイナー巡回打撃コーチに着任した。MLB球団では、女性としては初のフルタイムの打撃コーチだった。
この日のユニホームと帽子は野球殿堂に寄贈される、という。そんな歴史的な快挙を「Topps Now」が見過ごすはずがない。「Topps Now」では珍しい「MiLB(Minnor League Baseball)」版の2022年のカードナンバー#1として制作・発売された。
日本では片岡安祐美さんが茨城ゴールデンゴールズの監督を務めたことがあり、トレカも制作されている。さらに将来、NPBに女性指導者が現れる日は来るのだろうか? そして、その女性指導者のトレカは作られるだろうか?
トレカジャーナル編集部