大谷翔平投手「景気」の影響で、相変わらず、MLBカードは売れた。トレカショップの店頭には「MLBのトレカは何がありますか?」と訪れる客が数多く、来店。従来のコレクターは、ついに登場したワンダー・フランコ内野手(タンパベイ・レイズ)のルーキーカード狙いも多い。TOPPS「Heritage」はパラレルの多さで人気を集めた。「Inception」はこれまでは今ひとつの人気だった絵画調カードだが、今年は売れた。この後に発売される別の「Inception」シリーズも人気となるかもしれない。
しかし、3月はNPBの月だった。なんといってもBBM「ルーキーエディション」が圧倒。昨年の佐藤輝明(阪神タイガース)のようなスーパールーキーはいないが、各チームに期待のルーキーが入団。シングルカードも売れていることから、各チームのファンやコレクターが楽しめることがわかる。ルーキーカードの価値が再認識されていること、コロナ禍から少しだけ解放され野球への思いが盛り上がっていることがNPBトレカの売れ行きにつながっているようだ。
NPBカードではEPOCH「2022 王貞治 LEGENDARY CAREER SUPER LUXURY BASEBALL CARD COLLECTION」も圧巻だった。セットは30万円を超えたが、予約、抽選で完売した。王さんの直筆サインを確実に入手できる最大のチャンスを逃せないコレクターにとっては是が非でも手に入れたいアイテムだった。カードに使われていた写真も素晴らしく、サインも王さんらしく几帳面に書かれており、評価が高かった。次にこのシリーズでカードになるレジェンドは誰か、に注目が集まっている。
NBAカードはPANINI「2021-22 Origins」が直書きのサインが封入されたこともあり人気だった。「Donruss Elite」に続き、デザインの良さも評価が高かった。昔のFLEER社のDNAを継承した感じで、カードのトレンドも様々な企画が1周して見直された印象だ。今季のルーキーカードの傾向は、NPB「ルーキーエディション」のように、ドラフトで上位指名された選手たちにファンやコレクターがついているのは間違いないが、それが必ずしも、全体1位のケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)のカードに人気が集中しているわけではない。
サッカーカードはPANINI「2021-22 Prizm Premier League Soccer」が売れた。様々な種類のパラレル版が魅力の「Prizm」というブランド力は強かった。
「Prizm」人気は「2022 Prizm UFC」にも受け継がれた。パディ・ピンブレット(英国)の149枚限定のパープルパラレルのサインカードがMINTでも26万円で売れた。サインは封入されなかったが、イスラム・マカチェフ(ロシア)のルーキーカードも脚光を浴びた。
ほかのスポーツではTOPPS「2021 Formula 1 Chrome」がまさに突っ走った。60,000円から70,000円の間で販売されたHobby版のボックスは、米国の市場価格の上昇に合わせ、日本でも10万円を超えた。昨年発売された初年度版を購入できなかったコレクターが満を持して買い求めたことや、昨年のシングルカードが市場価格を上げていることが影響していることに加え、開幕戦で勝利し台頭してきたシャルル・ルクレール(フェラーリ)の存在や、今季からF1に昇格したオスカー・ピアストリ(アルピーヌ)のルーキーカードが封入されたことが拍車をかけた。ちなみに、日本人ドライバーの角田裕毅(アルファタウリ)の写真が昨年版ではF2・カーリン時代のものが使用されていたが、F1・アルファタウリの写真となったことも話題になった。
ゲームカードは3月は目玉商品がなく、落ち着いていた。2月に発売されたMTG「神河:輝ける世界」が好調を持続。「北斗の拳」の原哲夫氏、「メタルギアソリッド」の新川洋司氏、人気イラストレーターの寺田克也氏らの書き下ろしのカードに加えて、抽選で3氏の直筆サイン入りカードがもらえるキャンペーン開催の余韻が残った。新製品で直筆サインカードをプレゼントするキャンペーンはMTGでは初めてだった。
ポケモンカードは以前に較べて新製品のパックを入手し易くなってきた。2月末に発売された強化拡張パック 「バトルリージョン」も各店で人気を集めた。
キャラクターカードではカードダスマスターズの「スラムダンク」「エヴァンゲリオン」のシングルカードなどに、20代を中心とした購買層に人気が集まった。「スラムダンク」は今秋に映画公開を控えている事もあり、新製品ではないながらも購入する若い世代が多かった。カードダスマスターズの「スラムダンク」は1998年、「エヴァ」は1996~2003年に発売。「エヴァ」は2020年にカード1枚が封入された「劇場版ウエハース」にも再び注目が集まっている。
トレカジャーナル編集部