TOPPS社のHPで現在、販売中の大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)の最新カードが人気の「Throw back thursday」シリーズの1枚である。同社がかつて販売したカードのレトロなデザインで、MLBの往年の名選手と現役スター選手をカード化してきた。
今回は大谷のほかに、ワンダー・フランコ内野手(タンパベイ・レイズ)と、通算521本塁打を放ちMVPにも2度、輝いたフランク・トーマス元内野手(シカゴ・ホワイトソックス)のふたりがカードになった。
パワフルな打撃とムキムキの身体「つながり」なのか、3人の今回のトレカのデザインは1979年に発売された人気TVドラマ「超人ハルク」のカードが採用された。
「超人ハルク」の原題は「The Incredible Hulk」。マーベルのキャラクターのひとりで、映画のほうが知られているかもしれないが、アメコミを映像にしたのは1977年から82年までCBSで放送されたTVドラマがスタートである。
ブルース・バナー博士が事故でガンマ線を浴び、激怒すると潜在能力が目覚め、緑色の大男に変身。逃亡生活を続けながら、1話完結で旅先で出会った人々を助けていく。浪人時代に、東京12チャンネルでお昼に流されていた米国ドラマの再放送枠で、毎回、寂しそうに新たな地へ旅立つバナー博士の後ろ姿に切なさを感じたものだった。
そのカードの存在を知ったのは、1996年のことである。ロサンゼルス・ドジャースの担当記者だったボクはフィリーズとの3連戦のため、フィラデルフィアに宿泊。ホテルから1時間近くかけて歩き、ベテランズスタジアムに向かっていた。アウェイのレンジャーズ戦では球場のそばにホテルがあったが、そのようなケースはまれで、殆どの場合はホテルと球場は離れていた。
ボクはブラブラと歩きながら散策するのが好きだった。 怖いところを通過することもあったが、たまに、地元の商店街のような通りに遭遇し、お宝を発見することがあったから、である。フィラデルフィアでは、軒先に古いカードがパックで並べてあるおもちゃ屋があった。
そこに積まれていたノンスポ―ツカードの山の中に「超人ハルク」のカードがあった。来ていたシャツが破れ、ズボンは半ズボンになるほど、身体が大きくなる。その色は緑色である。だから、カードもグリーンが基調だった覚えがある。
その「超人ハルク」のカードの未開封ボックスがMINT新宿店で3万円で売られている、という。まさにデッドストックではないか。同店は土地柄、MINTのショップの中でも、映画やドラマのノンスポーツカードに強さを見せるショップ。さすが、である。
「超人ハルク」のカードもパックも見たことがある日本人コレクターは少ないと思うが、ボクはボックスを実際には見たことがない。1パックが3万円でなくてよかった、とは思うがそれを購入しても、開けるのがもったいなくて、そのまま、寝かせてしまう気がする。
やはり、トレーディングカードは奥が深い。
Cove(ライター)
国内外のコレクションアイテムを集めて30年余り。日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。元スポーツ紙ライター