米大手オークションハウス「Goldin Auctions」は8月8日、ホーナス・ワグナー遊撃手の「T206」 (グレーディング鑑定SGC2)を7,250,000 ドル(約9億8000万円)で売買した、と発表。「野球カードのモナリザ」と呼ばれるこのカードの最高額であり、スポーツトレーディングカードの最高額となった。出品者と購入者の詳細は明らかにされていない。
ワグナー「T206」は昨年8月、「ロバート・エドワード・オークション」を通じて SGC3点のものが手数料など込みの6,606,000ドル(当時のレートで約7億2600万円)で売却されていた。「Goldin」で昨年5月に売買された3,715,000ドル(約4億493万円)を更新。「Goldin」として、再び、抜き返した形となった。
「Goldin」の創設者のケン・ゴールディン会長は 「トレーディングカードは芸術であり、歴史であり、受け継がれるべきものです。 T206 は、私が自分の仕事をする理由の ひとつであり、世界中の熱心なコレクターがこの趣味をこよなく愛する理由のひとつです。歴史の一部となり、新記録の売買をお手伝いできたことを光栄に思います」と話した。
今回の「T206」は PSA によってグレーディング鑑定を受け、2006 年に「メモリー・レーン」を通じて294,338 ドル(当時のレートで3500万円)で販売。その後、購入者が2007年に SGCに再び、鑑定を依頼した、という。「メモリー・レーン」では当時、「T206としては、トップ10%に入る状態の良さ」と解説していたPSA、BGS、SGCのレポートでは3以上の評価を受けているものは4枚しか存在しない。
ワグナーの「T206」は史上初めて1億円を超えたトレカである。トレカが近年、高騰する以前からワグナーの「T206」はトレカの最高額を次々に塗り替えてきた。トレカ界の「モナ・リザ」と呼ばれ「サザビーズ」「クリスティーズ」など、美術品も出品される有名オークションでも売買され、トレカの地位を上げた。
ワグナー自身が販売を差し止めたため市場に出回る枚数が限られ、60枚未満しか現存していない。その理由は、「T206」がタバコのおまけとして作られたため、ワグナーが大切にしている子供ファンへの悪影響を心配したという説、たばこ会社からの報酬が少なかったことに怒ったという説、たばこ会社がワグナーに無断でカードを作成したことを許さなかった説など様々である。
「史上最高の遊撃手」と言われるワグナーは、通算3420安打を記録。首位打者8回、打点王5回、盗塁王5回に輝いた。1936年に初めて決まった野球殿堂入り選手のひとりでもある。
なお、「Goldin」では9月中旬からのオークションでワグナー「T206」のSGC1.5を出品する。8月はじめにアトランティックシティで開催された「ナショナル・スポーツ・コレクターズ・コンベンション」で展示され、コレクターたちの関心を集めていた。
PSAによって評価された1.5点のものは昨年5月に2,280,000ドル(約3億円)で売買。PSA1点のものは今年3月に「マイル・ハイ・カード・カンパニー」のオークションで3,100,000ドル(約4億300万円)だった。
※「Goldin Auctions」での落札額はバイヤーズプレミアム込み。
トレカジャーナル編集部