「ポケットモンスター」(ポケモン)は、1996年2月に発売されたゲームボーイのソフト「ポケットモンスター赤」「ポケットモンスター緑」がその始まり。同年4月には「別冊コロコロコミック」で漫画の連載がスタートし、97年4月からテレビ東京でアニメも始まった。
現在、抜群の人気を誇るゲームカードは1996年10月に「ポケットモンスターカードゲーム」として最初に発売された。だが、その前に市場に登場したのがトップ製菓株式会社が制作した「トップサン ポケモンカードガム」と言われている。
元々は駄菓子のメーカーだった同社は85年に「マリオブラザーズ」の発売元である任天堂とライセンス契約を結び作った「マリオ」の菓子がヒットした縁で「ポケモンカードガム」も手掛けた。同社はその後、小学館「週刊少年サンデー」に連載されていた「名探偵コナン」や「ハローキティ」のサンリオともライセンス契約を結び、キャラクター菓子を作ってきた。
ネットなどで調べてみると「ポケモンカードガム」は1995年の発売とある。96年の間違いではないか、とされるが、カード表面の下に「1995」の文字が記されている。これはおそらく、ライセンスの許可を取得した年と思われる。この「1995」の表記からコレクターの間では「1995 トップサン ポケモンカードガム」の名前で知られている。いずれにせよ、そのゲームソフトが登場して間もない時期だったのだろう。当時、ポケモンのコレクションアイテムといえば、ミニフィギュアぐらいしかなかったこともあり、ポケモンファン、とくに子供たちを中心に流通したようだ。
1パックにカード2枚とガム1枚を封入。ポケモン初期の150種類のポケモンがカードになっている。子供たちを対象にした商品であることは、ポケモンの解説文がひらがなで書かれていることからもわかる。
キラ加工の「クリスタルプリズム」のパラレル版も16種類、作られた。
さらに、この「 トップサン ポケモンカードガム」のレア度を高めているのが、裏面の色違いバージョンと、番号なしのエラー版の存在である。
通常版は裏面が緑色だが、少数ながら青色のバージョンがある。これが発売時期の問題なのか、発売地域の問題なのかはわからない。さらに、この青色バージョンには、表面の通し番号がないエラー版がいくつか、存在する。この状況から想像するに、青色バージョンとエラー版は初期に作られたもので、緑色バージョンに修正された、と考えられる。今風に言えば青色版は「SP」、番号なしは「SSP」ということになるだろう。・
ポケモンカードの人気高騰にともない、このカードもここ2、3年の間に、ものすごい市場価格で取引されている。その理由はその希少性で、子供たちを中心に流通したため、その数量そのものが少なく、状態のよいものはさらに少ないことがある。
オークション検索サイトの「オークファン」によると、高額取引のベスト3は、人気キャラクターリザードンの番号がないエラーカードで、「ヤフオク!」にてPSAグレーディングの10点満点が2,301,000円で、同9点が1,401,000円で落札。グレーディング鑑定を受けていないものが1,311,000円で取引された。
ほかにも、150枚のコンプリートセット(青版と緑版が混在)は601,000円、「クリスタルプリズム」16枚セットは456,555円で落札された記録が残っている。
「Pokemon」が世界的に人気で、米大手オークションハウス「Goldin Auctions」でもポケモンカードは高額で取引されており「トップサン」もわずかながら出品されている。PSA鑑定を受けた青版の150枚コンプリートセットが6,000ドル(約810,000円)、150枚のコンプリートセット(青版と緑版が混在)は870ドル(約117,000円)で取引された。
「トップサン」の「ポケモンカードガム」はこの後も「アニメ版」や「ポケモンGBAカードガム」など、いくつかの商品が作られた。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。