山本由伸投手（オリックス）が2年連続の「沢村栄治賞」に輝いた。シーズンで最も活躍した先発投手に贈られる「沢村栄治賞」の選考委員会（堀内恒夫委員長＝元巨人）が10月24日、都内で行われ、山本を全会一致で選出した。2年連続の選出は2017、18年の菅野智之投手（巨人）以来、史上６人目だが、パでは史上初の快挙となった。

15勝、防御率1.68、勝率.750、205奪三振、2完封で史上初の2年連続「投手５冠王」を獲得。6月18日の対埼玉西武戦（ベルーナＤ）では自身初のノーヒットノーランも達成した。「一年間を評価してくれる賞なので、やりがいを感じます。素直に、とてもうれしく思います。一日一日を大切にし、真剣に練習、調整をして、毎試合必死に投げた結果だと思います」東京ヤクルトとの日本シリーズの最中ということもあり、球団を通じて喜びのコメントを発表した。

昨季に続き、「沢村栄治賞」の選考基準である15勝以上、150奪三振以上、防御率2.50以下、登板25試合以上、勝率6割以上の選考基準である7項目のうち、5項目をクリア。「完投数10試合以上」は完投4試合、「投球回数200イニング以上」は193イニングだったが、ともにリーグトップの数字だった。

10月22日の日本シリーズ第1戦（神宮）では左脇腹に違和感を覚え、5回途中4失点でポストシーズン初の敗戦投手になった。予定されていた第6戦の先発は微妙だが「より高みを目指して、もっといい投手になるために、もっともっと野球と向き合いたいです」と昨年の日本シリーズで敗れたスワローズへのリベンジの炎は消えていない。

沢村賞は、プロ野球草創期の伝説の右腕である沢村栄治投手（巨人）の功績をたたえ、プロ野球シーズン中に最も好成績をあげた「先発完投型」の投手に贈られる賞だ。1947年に制定され、2リーグに分立後はセ・リーグの選手が対象だったが、1989年からはパ・リーグを含む両リーグの投手の中から選ばれてきた。

沢村栄治は、京都商業高校時代に出場した1934年の日米野球では快速球でベーブ・ルースやルー・ゲーリックらMLB選抜を手玉に取った。日本で職業野球が開始されると、巨人の初代エースとなり1936年の初優勝に貢献。1937年の春季（当時は春秋の2季制）にはすべて完投で24勝をあげるなど史上初の投手5冠に輝き、初代MVPに選ばれた。史上最多タイの3回のノーヒットノーランも達成したが、1944年、三度目の徴兵で帰らぬ人となった。1947年には功績が称えられて巨人の背番号14は初の永久欠番に。この年に「沢村賞」が制定された。1959年に野球殿堂入りした。

沢村栄治のトレーディングカードは、メンコや米国製のベーブ・ルースとのツーショットカードなどがあるが、伝説の投手として最近でもカードになり、高い市場価格がついている。現役ナンバーワン投手として無双のピッチングを続ける山本由伸のカードも、新しい伝説になるかもしれない。

トレカジャーナル編集部