スピードスケート「全日本距離別選手権」で10月22日、女子500メートルが行われ、平昌五輪の金メダリストで、このレースを最後に現役を退く小平奈緒が37秒49で優勝した。2位は38秒18で高木美帆だった。
右手を握りしめた。それは小平らしい小さなガッツポーズだった。長野県のエムウェーブでのラストラン。今年4月、この日のレースを最後に現役引退することを表明した。前売り券は完売。満員の観衆が配布されたハリセンや拍手で応援。「感動をありがとう」と書かれたボードをもって、小平を見守った。
会心のレースで、もうひとりのレジェンド、高木美帆を下した。優勝が決まると、笑顔でウイニングラン。日の丸や「ありがとう」のうちわが揺れる様子を見つめた。「夢にまでみたような。この会場で最後滑ることができて、幸せでいっぱいです。人のぬくもりを感じるというか、会場に温かく包まれるような感じで。テレビで見た長野五輪とはまた違う、心震えた瞬間でした」とレース後の場内インタビューで感謝を伝えた。
「アップの時にすでに会場がいっぱいになっていて、私が滑る後を追うように拍手がウエーブのように流れていて、背中を押される思いだった。一瞬でも皆さんの顔を見てしまうと、涙がこぼれそうだったので、とにかく目の前の氷に集中して、自分に集中と。集中力をまとって、アスリートとして最後の小平奈緒を示すことができたと思う」と明かした。
競技後に開催された引退セレモニーではリンクをゆっくりと1周。観客の声援に手を振って応え、日本スケート連盟前会長の橋本聖子さんから花束を贈呈された。19年秋の台風19号で被災した地元長野の農家からりんご1000個を購入して、観客に配布するサプライズも実施した。
小平は2010年バンクーバー五輪団体追い抜き銀メダル。18年平昌五輪は500メートルで金、1000メートルで銀メダルを獲得。2月の北京五輪は、今年1月中旬の右足の捻挫を最後まで明かさず、500メートルで17位、1000メートルで10位だった。
発売されたばかりのBBM「Infinity」では、スピードスケート女子のトレーディングカードは、今年4月に現役引退を発表した、平昌五輪で金メダル2個、北京五輪で銀メダルの高木菜那のカードは封入されたが、小平は残念ながら入らなかった。小平のトレカは、これまで、BBM「2018 2ndバージョン」の始球式カードしかない。レジェンドのリンクの上での雄姿をカードで見たい。
トレカジャーナル編集部