MLBのア・リーグ地区シリーズ第2戦、ニューヨーク・ヤンキース対クリーブランド・ガーディアンズ戦が10月14日、ヤンキーススタジアムで行われた。ガーディアンズの先発、シェーン・ビーバー投手が5回2/3を2失点に抑え、勝利に貢献。両チームの対戦成績は1勝1敗となった。
この試合でのテレビ中継での実況が話題になった。5回の先頭打者に初球を投じた時のこと。米有料放送局「TBS」でアナウンサーを務めるボブ・コスタス氏は「ジャスティン・ビーバーはですね。ジャスティンは84球を投げています。トレバー・ステファンは(リリーフに備え)ブルペンで投球練習中です」と放送。直後に「えー、私はいつもシェーン・ビーバーをジャスティン・ビーバーと呼んでいます」と言い訳したが、もう遅かった。
米国では各メディアが即座に「ジャスティン・ビーバーがポストシーズンの瞬間を迎える」と反応。ファンも「これは面白い」「可愛いミスだ」「冗談だろ」「ジャスティン、デビューおめでとう」などと盛り上がった。
ジャスティン・ビーバーとは、ご存じの通り、あの人気歌手。とくに血縁関係はない。実は、シェーンとジャスティンには野球カードを巡る「因縁」があった。
2019年のTOPPS「Stadium Club」のシェーン・ビーバーのレギュラーカード。
その裏面に記載されたプロフィールの中で、シェーンがジャスティンと誤植されていたのだ。誰かに教えてもらったのか、シェーン自ら、SNSでこのカードの写真を紹介し「いいね」と一言添えて「Topps」をタグ付けした。
この投稿にジャスティンが「ボクたちには特別なつながりがあるみたい」とリプライ。さらには、TOPPS社の公式アカウントも反応。ジャスティンの楽曲「Sorry」の歌詞を引用し「ごめんねっていうのはもう遅い?」と謝罪した。そして、インディアンス(現ガーディアンズ)の公式アカウントもジャスティンに対し「プログレッシブ・フィールドで始球式しませんか?」と本拠地に招待したのだ。
話はここでは終わらない。シェーンはこの年の「プレイヤーズ・ウィークエンド」で着用した期間限定ユニフォームの背番号の上につけたニックネームを「NOT JUSTIN」とした。「NOT JUSTIN」とは「ジャスティンじゃないよ」「ジャスティンじゃないほう(のビーバー)」の意味だった。
これを受けてジャスティンがSNSの動画で「NOT SHANE BIEBER」と書かれた「プレイヤーズ・ウィークエンド」のインディアンスのユニホームを着てオートバイに乗る姿を公開した。
裏面のプロフィールで、誕生日を間違えたエラーカードがレギュラーカードの何十倍の価格に跳ね上がることもある。
トレカのドラマは表のかっこいい写真だけではない。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。