テニスのトレーディングカードが新時代を迎えるかもしれません。
グランドスラム(GS)で20勝を誇る「芝の王者」ロジャー・フェデラーが引退しました。相変わらずの強さを見せているノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルも出場する大会を絞っており、若手が続々と台頭。テニス界はまさに世代交代が進んでいます。
全米オープンで初のGS優勝を飾り、同胞のナダルも小さい頃から期待を寄せていたカルロス・アルカラスは史上最年少の19歳で世界ランキング1位に。トップ10経験のある22歳のオジェ・アリアシム、23歳のデニス・シャポバロフはGSでもベスト4進出経験もあるカナダコンビも要注目です。
パリマスターズ決勝ではジョコビッチ相手に互角の戦いを演じ、初優勝を飾った19歳のホルガー・ルーネはデンマーク出身。、昨年のATPマスターズ1000(MS)準優勝を果たし、世界ランキングTOP10入りも果たした21歳のヤニック・シナーや、2022年ツアー初優勝を果たした20歳のロレンツォ・ムゼッティらを擁し、テニス強豪国となったイタリア勢もいます。
中堅選手も充実しています。2021年の全米決勝でジョコビッチに打ち勝ち、悲願のGS初優勝を果たした26歳のダニエル・メドベデフは、2022年全豪オープン決勝でナダルに敗れたものの、世界ランキング1位に立ちました。
2020年の全米オープンで初優勝を果たし、現在は怪我からの復活を目指す29歳のドミニク・ティーム、東京五輪金メダリストである25歳のサーシャ・ズベレフ、奇想天外なプレースタイルと問題発言を繰り返しながらもどこか憎めない27歳のニック・キリオスら、テニス界は新しい戦国時代に突入したといえるでしょう。
日本人プレーヤーでも、西岡良仁がATP250韓国オープンで自身2度目のツアー優勝を果たし、キャリアハイとなる世界ランキング37位に入るなど、さらなる飛躍が期待されています。そして、夢と感動を与え続けてくれた錦織圭の復帰も待たれます。
盛り上がるテニス界ですが、テニスのトレーディングカードも歴史があります。ACE社やLEAF社などがこれまでカードを作ってきましたが、近年は「Goodwin Chanpion」や「Allen & Ginter」などのオールスポーツカードに封入されるだけで、発行自体が少なく、私をはじめ新作を待ち望んでいるコレクターもファンも多いでしょう。今春にはTOPPS社の「Chrome」の制作が発表されましたが、続報がありません。
最近ではNET PRO社から世界1位に輝いたカルロス・アルカラスの直筆サインカードが発売されました。世界ランキング1位になった、ほぼ同じ時期に発行されたこともあり、テニスカードの中でも今後、アイコン的なカードになっていくのではないでしょうか。
2015、2016年にエポック社から発行された「International Premier Tennis League(IPTL)」は錦織圭はもちろん、ジョコビッチを除くBIG4や女王セレナ・ウィリアムズやマリア・シャラポワらスーパースター達の直書きサインカードが封入された夢のような商品でした。その他にも当時のトッププレイヤーの直筆サインカードが多数、封入されていました。IPTL自体が3年しか開催されなかった事もありますが、このカードがわずか2年で終わってしまったのは本当に残念でした。
同商品にサインカードが封入されなかったジョコビッチは、他のBIG4の3人フェデラー、ナダル、マレーに比べるとカードとなる機会自体が少なく希少なカードとなっています。ジョコビッチのルーキーカードは2006年と言われており、同年に発行された「2006 Ace Authentic Grand Slam」に収録されている直筆サインカードは、ジョコビッチにとっては1stオートで、グレーディング鑑定されていない状態でも約50万円ほど、GS優勝時にはPSA鑑定済みのものが100万円以上で取引された履歴があります。
新星のルーキーカード発行を待ちながら、まずはジョコビッチら歴代のスーパースターのテニスカードを集めてみてはいかがでしょうか。新しいテニス界を担っていくプレーヤーたちの初カード化への楽しみが倍増することは間違いありません。テニスカードの新情報が発信された際には、今後もトレカジャーナルで、お届けしていきたいと思います。
◆石山直杜(MINT吉祥寺店スタッフ)
宮城県涌谷町出身。元シェフという異例の経歴で、MINT吉祥寺店ではトレカ情報を来店者のために料理する。プロ野球は地元の東北楽天ファンでカードはテニスカード、海外サッカーも収集。(By 中川良太店長)