新宿という土地柄、コレクターだけでなく、カード初心者やファミリー層にも愛されてきたMINT新宿店が昨年12月、旧店舗から徒歩5分ほどの「新宿マルイアネックス」7階に移転し、リニューアルオープンした。
「新宿マルイアネックス」には個性あふれるテナントが入っているが、とくにフロアごとにカテゴリーが明確に統一されていないため、ビル自体が宝箱のような構成になっている。MINT新宿店が移転した7階もファッション、雑貨、写真スタジオ、キャラクターグッズ、シューズのテナントが並ぶ。これまで、MINTで4店舗に勤務した石渡飛雄馬副店長によると「アネックスさん自体の影響もあるのでしょうか。MINTの他店舗より女性のお客様が多い印象です。女性ひとりだとなかなか、カードショップには入りづらいと思いますが、明るいし、きれいだし、気軽にご来店いただけるようオープンな店づくりをしています」。
昨年からMINTでは新店舗、リニューアル店舗はその街や建物の色目に合わせたデザイン、カラーリングを採用している。新宿店は白が基調になっており、清潔感、洗練さを感じる。店舗内の高額シングルのケースは人感センサーで、人がケースの前に立つとライトが点灯する最新のシステムだ。ケース内はバックが黒で統一され、並んだシングルカードの存在を際立たせる工夫が施されている。
新宿店の大きな特徴のひとつとして、シングルカードを来店者が自分で探せるシューボックスが並んでいる。こちらは昔ながらのカードショップのシステムではあるが、その棚が無骨さを醸し出すインダストリアルな作りで、その棚の上に設置された照明も、コードがむき出しのインダストリアルなインテリア風。実に店内の、洗練さと無骨さの好対照がハイブリットで楽しい。「幻影のゾロア」(150万円)、レブロン・ジェームズの「2004-05 Upper Deck Sweet Shot Signature」(50万円)といった高額カードだけでなく、お手ごろな価格のシングルも自分の手で選べて、プライスもまた、ハイブリットだ。
取り扱うカードもハイブリッドである。スポーツカードはあらゆるジャンルがそろい、ゲームカードのケースも多い。高橋高弥店長を含め11人のスタッフはそれぞれのジャンルに精通している。「ゲームカードに関しては、現在、ポケモンカードとワンピースカードが柱になっていますが、マジック;ザ・ギャザリングも取り扱いを予定しています」と石渡副店長。SNSを使った告知やイベント開催にも積極的で、注目の「ユニオンアリーナ」も3月の発売へ向け、準備を進めている。
毎週火曜日以外は大会を開催しており、デュエルスペースは4卓16人を用意。他店舗のスペースに比べ、余裕があり、ゆったりと落ち着いて対戦を楽しめる作りになっている。「ゲームをプレイするお客様だけでなく、コレクションするお客様も多いです。キャラクターで購入するお客様も目立ちます」という。PSA鑑定の代行受付サービスを実施しているが、ひとりの上限を決めても月500枚以上の申し込みがあり、その9割がゲームカードという人気ぶりだ。
スポーツカードは、NPB(日本プロ野球)、NBAのカードが売れている。これは、旧新宿店からの伝統かもしれない。旧新宿店からの流れでは、映画カードの在庫も豊富で、「新宿マルイアネックス」最上階で連結する映画館(新宿バルト9)があることで「今後は上映映画と連動したイベントなどできたらいいと思います」と石渡副店長は期待している。平日は大学生、社会人の来店者が主だが、週末は家族連れも多い。入国の緩和で、観光がてら来店する外国人の来店者も増えてきた。
様々なハイブリッドがそろう、新しいMINT新宿店は、多種多様なニーズに応えてくれる懐の深さがある。まさに、MINTの旗艦店と呼ぶにふさわしい。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。