元ヤクルト、近鉄で活躍した元投手の鈴木康二朗さんが2019年11月に天国へ旅立っていたことが明らかになった。
鈴木さんは1978年に13勝3敗の勝率.813で最高勝率のタイトルを獲得。ヤクルトの球団史上初となるリーグ優勝と日本一に貢献した。83年に近鉄へ移籍してからはクローザーとして84、85年に最多セーブを記録。通算成績は81勝54敗52セーブだった。
タイトルホルダーの鈴木さんは、1982年に王貞治さんに世界新記録756号本塁打を打たれたことでも知られる。眼鏡に細身の外見とは対照的に、マウンドでは強気の投球を見せた。他球団の投手が勝負を避ける中、記録がかかった王さんにも真向勝負。決め球のシンカーを後楽園球場の右翼スタンドに運ばれた。
大歓声の中、ゆっくりとダイヤモンドを一周する王さんだったが、鈴木さんは居場所がないようにマウンドのまわりをウロウロしていた。新記録の一発を被弾した投手にはサイパン旅行が贈呈されることが決まっていたが、鈴木さんは辞退し、プライドを見せた。「打てるものなら、打ってみろ、と投げた。ああ、打たれちゃった、(歴史に名前を残すのは)オレかと思った。(辞退は)旅行ほしさに打たせたと思われては腹が立ちますから。でも打たれてよかった。これをきっかけに、燃えることができて成績は上がったわけですから」と後に語った。
鈴木さんはカルビーなどでトレーディングカードになっている。王さんの本塁打カードで755号には、打たれた三浦道男投手(大洋)の姿が写り込んでいるものがあるが、756号のカードには鈴木さんの姿はない。鈴木さんらしい、と言えるかもしれない。
そして、2月11日には近鉄、巨人、ヤクルトなどで存在感を見せた元投手の入来智さんも天国に旅立った。
2001年にはヤクルトで10勝をあげ、リーグ優勝と日本一に貢献。前年に巨人で一軍未登板だった右腕が、先発投手として自身初の2ケタ勝利をあげたことで話題になった。鈴木さんと同じく、強気のマウンドさばきでその投球スタイルは「ケンカ投法」と呼ばれたことも。韓国、台湾のプロ野球のマウンドにも立ち、NPBでの通算成績は35勝30敗2セーブだった。
入来智さんといえば、やはり、実弟の入来祐作さんの存在がある。近鉄から巨人に移籍した99年に球団史上初の現役兄弟選手となった。ヤクルトに移籍した01年には球宴初出場を果たし、球宴史上初の兄弟リレーも実現した。先発した祐作さんから2番手で智さんがバトンを受け取った。2年間、在籍した巨人では兄弟での継投はなかったが、晴れ舞台で長嶋茂雄監督、星野仙一監督(コーチとして出場)が相談して、粋な起用を見せた、という。
投球同様に歯に衣着せぬ発言も多く、ヤクルトに移籍した際には「巨人に復讐するためにヤクルトに来ました」と口にしたこともある。祐作さんは通夜で「破天荒な人でした。ボクは(オリックスの)コーチとして野球に携わっていますが、兄貴以上に破天荒な人はいないので、どんな人がきても大丈夫。兄貴のおかげで、どんな人とも付き合える」と涙ながらに語った。
その波乱万丈の野球人生を送った入来智さんのトレーディングカードはBBM、カルビーなどで多く作られている。01年のBBM「ダイヤモンドヒーローズ」では200枚限定のジャージーカードもある。99年のカルビーでは、入来祐作さんとのコンボカードもあった。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。