「2000 BBM リミテッド 読売ジャイアンツ」 二岡智宏 20枚限定直筆サインカード(ファーストナンバー)
現在、巨人の現役選手は球団の方針で、直筆サインのトレーディングカード収録が難しい状況にある。それでも、かつてはサインカードがパックやセットに封入された「黄金の時代」があった。この「2000 BBM リミテッド読売ジャイアンツ」は巨人に所属する選手の直筆サインカードが初めて、インサートカードとして収録された、トレカ史に残るブランドである。
二岡はこの年がプロ2年目。1988年のドラフトで2位指名(逆指名)を受け、近大から巨人に入団した。ルーキーイヤーの99年から、遊撃手の定位置を奪い、126試合に出場。打率.289、18本塁打、51打点を残し、チームの優勝に貢献した。
二岡といえば、そのリーグ優勝を決める一発は今でも覚えている。9月24日。スポーツ新聞社で、遊軍記者をしていたボクは当日、その瞬間に備えて、社内で内勤をしていた。勝てばリーグ優勝が決まる試合は4点差で9回裏へ。まさか、今日は胴上げはないな、と油断していた。
それがどんどん走者がたまり、打席には江藤智。長嶋茂雄監督が背番号33を譲って勧誘しFA移籍した大砲だが、この日までグランドスラムは打っていない。まだまだ、余裕をかましていたボク。 ところが、まさかが起きて、同点の満塁弾。東京ドームが騒然とする中、二岡が右翼席へ優勝を決めるサヨナラ弾をたたき込んでしまった。
そこから、早版の記事の差し替えから始まって、最終版まで何をしたのか、今、思えば記憶がない。会社のハイヤーに乗って帰宅した時、もう夜が明けていたことだけは覚えている。
翌年の春、遊軍記者として宮崎キャンプで取材した時、二岡の笑顔を観て、その夜のつらさも吹き飛んだ。ボクは当時、日テレの衛星放送でのキャンプ生中継で「二岡はMLBに行ってほしい。プレーだけでなく、あのスマイルで金髪美女もイチコロですよ」と話し、周囲からめちゃくちゃ、怒られた。
そう、この笑顔。そして、貴重な直筆サイン。巨人ファンなら、家宝にしていただきたい、究極の1枚である。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。