中村剛也内野手(埼玉西武ライオンズ)が4月29日、対東北楽天ゴールデンイーグルス戦(ベルーナドーム)でNPB史上初の2000三振を記録した。「4番・DH」でスタメン出場した中村は5点を追う4回先頭の第2打席で楽天先発・藤平尚平投手にカウント1-2と追い込まれ、最後は142キロのフォークで空振り三振を喫した。
「悔しくないです。悔しいけど、悔しくないです」という味のあるコメントが日刊スポーツに載っていた。翌日のスポーツ紙の扱いは小さいか、と思いきや、この試合の続く打席で2試合連続の6号2ラン、現役最多の460本塁打を記録したこともあるだろうが、意外にも大きく扱われ、ボクはちょっぴり、うれしかった。中でも日刊スポーツの金子真仁記者の記事は秀逸だった。
三振はスラッガーの証明でもあり、勲章でもある。プロ22年目、今年8月には40歳の誕生日を迎える中村は、2008年には46本塁打で初のタイトルを獲得してから6度のキングに輝いた。ボクが高校生の頃、福岡から所沢に移転してきたライオンズ。スポーツ紙に勤務していた頃は担当記者もやらせてもらった。だが、残念ながら2002年にドラフト2位で大阪桐蔭高から入団した中村とは「すれ違い」で、取材をしたことはない。
中村のファンになったのは2011年だった。「飛ばないボール」という謎の統一球というものが採用されたシーズンである。中村は48アーチを記録し、2位の松田宣浩内野手(福岡ソフトバンクホークス)の25本を大きく引き離し、本塁打王になった。まさに天性の「アーチスト」だったのである。「おかわり君」というほんわかムードのニックネームとは対照的にものすごい凄まじささえ、感じる。
1973試合目の出場試合で、通算7706打席目の大記録。試合後には「三振の方が多いんで、三振しないように頑張ります」とも話した、という。MLBでは歴代最多三振記録のレジ―・ジャクソン(アスレチックスなど)の2597三振(1万1418打席)をはじめ、7人の打者が記録。中村は同7位アンドレス・ガララーガ(ロッキーズなど)の2003三振(8916打席)につぐ、世界歴代8位になるらしい。
中村の現役最多460本塁打はエポック社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」をはじめ、トレーディングカードになるだろう。記録にこだわったBBM「Fusion」でのカード化も濃厚である。それでも、中村には「悔しい」かもしれないが、2000三振をカードにしてほしい。460本塁打の裏面でもいい。2000三振こそが、中村の偉大さを伝える数字だと思うのだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。