ルイス・アラエス内野手(マイアミ・マーリンズ)が6月6日、本拠地での対ロイヤルズ戦で4打数2安打2打点。今季24度目のマルチ安打で打率を.402までアップさせた。1941年にテッド・ウィリアムズ外野手(ボストン・レッドソックス)が.406を記録して以来、打率4割を記録した選手はいない。
ベネズエラ出身のアラエスは2019年5月にミネソタ・ツインズでメジャーデビュー。昨季は打率.316をマークしてア・リーグの首位打者を獲得した。今季はマーリンズへトレード移籍し、4月11日の対フィリーズ戦でサイクル安打。これはチーム初の快挙となり、これでMLB全30球団がサイクル安打を達成し、歴史に名を残した。
TOPPS社のオンデマンドカード「Topps Now」では早速、アラエスの打率4割到達カードの受注をスタートさせた。
まさに夢の数字である。1977年にはこの年、6度目の首位打者に輝いたロッド・カルー内野手(ミネソタ・ツインズ)が前半戦を打率.394で折り返したが.388で終わった。それでも、キャリアハイの14本塁打、100打点でア・リーグのMVPに選出された。
1994年のトニー・グウィン外野手(サンディエゴ・パドレス)も惜しかった。前半戦を打率.383で終え、後半戦の28試合で.423をマーク。ストライキ突入を前日に控えた8月11日、敵地での対アストロズ戦で5打数3安打を記録し.394まで上昇。6打数6安打ならば打率はジャスト.400だった。
MLBでは1901年以降、のべ13人(ホーンスビーとカッブが3度、シスラーが2度)の選手がシーズン打率4割越えを果たしているが、残念ながらNPBでは誰も到達していない。
唯一、1989年のウォーレン・クロマティ外野手(巨人)は8月20日まで打率.401。96試合目までの打率4割台は64年の南海・広瀬叔功の89試合を抜く日本記録となっている。この時点ですでに規定打席をクリアしていたクロマティは、チームがリーグ優勝に向けて独走態勢に入っていたこともあり、残り試合を休めば、打率4割を達成できた。だが、先発出場を続け、124試合で球団史上最高の.378をマーク。首位打者、最高出塁率を獲得し、MVPも受賞した。
面白いのは、アラエス、カルー、グウィン、クロマティともにクラウチングスタイルの左打者ということだ。アラエスはライブ中継で、レジェンドたちは数多く作られているトレーディングカードで確認できるだろう。
今季は、独特のオープンスタンスの右打者、宮崎敏郎(横浜DeNA)が開幕からヒットを量産し、打率4割をキープ。だが、5月26日の対中日戦の第1打席で右飛に倒れ、17打席連続無安打となり、ついに、4割を切ってしまった。
打率にクローズアップしたトレーディングカードは多く、前年の首位打者は翌年にタイトルホルダーのカードになる。チームトップの打率を残した選手も翌年にはチームのチェックリストになることもある。かつて、TOPPS社では人気ブランド「Triple Threds」で記録の数字をデザインしたり、2015年の「シリーズ1」「シリーズ2」で自身最高記録にスポットライトを当てたサインカードもあった。
アラエスはこのまま、高打率を維持することができるだろうか。宮崎は再び、打率4割に戻すことができるだろうか。ペナントレースはまだまだ続く。厳しい道のりは続くが、夢の数字の行方と、夢の数字のトレカの誕生から目が離せなくなりそうだ。
【MLBシーズン打率ベスト5】
1位 .424 ホーンスビー(カージナルス=1924年)
2位 .421 ラジョイ(アスレチックス=1901年)
3位 .4198 シスラー(ブラウンズ=1922年)
4位 .4196 カッブ(タイガース=1911年)
5位 .410 カッブ(タイガース=1912年)
※8位 .406 ウィリアムズ(レッドソックス=1941年)
【MLB通算打率ベスト5】
1位 .3664 カッブ(タイガース)
2位 .3585 ホーンスビー(カージナルス)
3位 .3458 デラハンティ(フィリーズ)
4位 .3447 スピーカー(インディアンス)
5位 .3444 ウィリアムズ(レッドソックス)
【NPBシーズン打率ベスト5】
1位 .389 バース(阪神=1986年)
2位 .387 イチロー(オリックス=2000年)
3位 .385 イチロー(オリックス=1994年)
4位 .3834 張本勲(東映=1974年)
5位 .3831 大下弘(東急=1951年)
【NPB通算打率ベスト5】
1位 .320 リー(ロッテ)
2位 .31918 若松勉(ヤクルト)
3位 .31915 張本勲(東映など)
4位 .3174 ブーマー(阪急など)
5位 .3166 青木宣親(ヤクルト)
※青木は現役。6月7日現在
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