FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランドで、1次リーグのグループCの日本代表「なでしこジャパン」は7月26日、ニュージーランドのダニーデンで、コスタリカと対戦。2-0で2連勝を飾り、勝ち点を6とした。この後、スペインがザンビアに勝利したため、グループCの2位以上が確定し、決勝トーナメント進出が決まった。
初戦から先発メンバーを4人入れ替えた日本代表は、序盤から押し気味に試合を進めた。前半25分には左サイドでパスを受けたワールドカップ初招集でこの日が初先発となったMF猶本光が左足でシュートを決めて先制した。
「自分のゴールでチームを勝たせたいと思っていたので、決められてよかった。ただ、まだ1点目だったのですぐに切り替えた。スペイン戦があるので、1戦1戦みんなで積み上げていってまた勝ちをつかみたい」と猶本は自身の初ゴールよりもあくまでチームの勝利への思いを口にした。
2分後には藤野あおばが右サイドを突破し、角度のない位置から強烈なゴールを撃ち込んだ。この得点で藤野は日本代表として男女通じて初めて10代でワールドカップでゴールを決めた選手になった。藤野は19歳180日。これまでの日本代表のワールドカップでの最年少得点者は「なでしこジャパン」の永里優季で、2007年の中国大会で記録した20歳61日だった。
「相手のキーパーが手前に出る動きが見えたので思い切っていった。WEリーグで積み上げてきたものが世界の舞台で発揮できた。試合前、チームメートから『大丈夫、いつもどおり積極的にやれば結果もついてくる』と励ましてもらった。いろんな人の支えでプレーできている。得点をとれたらベンチに駆けつけようと決めていた」とベンチ前で総出で待ち受けるチームメイトの中に飛びこんだ。
後半、なでしこジャパンは追加点こそ奪えなかったが、この試合で25本のシュートを放つなど終始攻め続けた。守備でも相手のシュートを6本に抑え、世界ランキング36位のコスタリカに対し、同11位の実力を見せつけた。
「2戦目の難しさがある中で揺るぎなく隙なく戦えた。(4人の入れ替えには)いろいろな選手が出tても『なでしこジャパン』としての戦いができるのが強み。このチームで決勝トーナメントを戦えることをうれしく思う。スペインとの試合はあらゆる面で大きな意味を持つ試合であることに変わりなく、チームとしてやるべきことを続けていく。ここまで戦った2試合同様、これからの戦いでも簡単な試合は1つもない。目の前の試合に集中し続け、1試合ずつ戦っていく」と池田監督は表情を崩すことはなかった。
5-0で大勝した初戦のザンビア戦とは異なり、猶本と藤野が得点しての勝利。日替わりヒーロー(ヒロイン)が次々に登場するのは、スポーツの世界では強いチームの証明とも言われている。なでしこジャパンのトレーディングカードも、誰のカードを収集するか、悩ましい状況になっている。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。