大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)が7月27日、歴史的な投打を見せた。この日、コメリカ・パークでのデトロイト・タイガーズのダブルヘッダーの第1試合でMLB初完投初完封で9勝目をあげると第2試合で37号2ランと38号ソロを連発した。
許したヒットはわずか1本。自己最多タイの111球で、メジャーに来て6年目のシーズンで初めて9回を投げ切った。渡米してからはトミー・ジョン手術を受けた影響もあり2019年は登板なし、20年は2試合のみで、今季はMLB実質4度目のフルシーズンでの初完投初完封となった。NPB北海道日本ハムファイターズ時代には7試合の完封を記録。日本ラスト登板となった2017年10月4日の対オリックス戦以来の完封でもあった。
45分後に始まる第2試合の前には会見。「ダブルヘッダーの1戦目だったので、チーム的にも個人的にももちろん良かった」と笑顔を見せた。
アーチを量産し、打率も3割をキープしていた打撃が凄すぎて、マウンドでは8勝をあげても驚かれるような投球内容ではなかったが、この完封で唯一無二の「二刀流」プレーヤーの才能を見せつけた。
これまでは大谷がサインを出していたが、この日は4回から、捕手のウォラックにリードを委ねた。投げることに集中したのか。ひとりではなく、チームメートと勝つことを求めたのか。前日、エンゼルスはシカゴ・ホワイトソックスからエース格のルーカス・ジオリトとセットアッパーのレイナルド・ロペスの2投手を球団プロスペクトランキング2、3位の若手と交換トレードで獲得。8月1日のトレードデッドラインを前に、売り手から買い手に回ったことで、うわさされていた大谷のトレードもほぼ消滅した。
「残るというか、エンゼルスで最後までプレーするつもりで今までやってきましたし、ただ周りの声も含めて気持ちもスッキリ臨めたので、これからプレーオフを目指して頑張りたいなと思います」と話す表情はすっきりした印象だった。
第2試合にも「2番・指名打者」で先発出場した大谷は2回に左越えの37号2ラン。4回にもバックスクリーン右へ38号ソロを豪快に叩き込んで、周囲を唖然とさせた。ただし、2打席連続弾を放った際に左わき腹を押さえるような仕草を見せ、途中交代。球団からは「けいれん」と発表され、連勝後にはフィル・ネビン監督が「明日の試合には出場する」と話し、激動の1日は終わった。
ア・リーグの本塁打王争いで独走状態の猛打に合わせ、大谷のトレーディングカードはどんなカードでも売れる状態が続いている。米国の大手オークションハウス「Goldin Auctions」では8月3日に終了する最新のロットで、68件ものシングルカードが出品されている。日本国内ではミント各店舗、「MINTモール」でも多くの大谷カードが販売されている。もちろん、2018年に発行されたルーキーカードが一番人気だが、ファイターズ時代のカードも市場価格を上げている。
エンゼルス残留でプレーオフ進出へ集中できれば、この日のように投球でも、打撃なみの記録ラッシュが続くかもしれない。そうなれば「投手・大谷」のカードも「打者・大谷」のカードと同じように、さらに価値を高め、大谷カードのこれまでとは規模の違う大フィーバーがやって来る。
トレカジャーナル編集部