海外フリーエージェント(FA)権を行使してMLB挑戦を目指していた東北楽天ゴールデンイーグルス・松井裕樹投手がサンディエゴ・パドレスと基本合意に達した。米メディアが12月19日、一斉に報道した。すでに受けたメディカルチェックで異常がなければ近日中にも正式発表される。
史上最年少の27歳5か月で通算200セーブを達成した若き守護神が合意した契約は総額4年30億円規模になる、という。セントルイス・カージナルスも3年総額20億円の好条件を提示したが、契約年数が松井の心を動かした。その金額だけでなく、イーグルスで入団から背負ってきた背番号1を用意するなど、最大限の誠意は、パドレスが長く松井を追いかけてきた証明でもあった。
そして、ダルビッシュ有の存在があった。3月のワールドベースボールクラシック(WBC)ではチームメートになった。FA宣言を決めた会見では「(WBCで)トップでやってらっしゃる方と話したり、プレーを見たりする中で(MLBへの)思いが強くなった部分も少なからずある」と話した。
パドレスは今季、クローザーを務めた通算165セーブのジョシュ・ヘイダー投手がFAとなり、来季の所属先がまだ決まっていない。セットアッパーとしての起用が伝えられてきた松井だが抑え役の期待もかかる。ただし、これまでの国際大会でMLB球に苦しんだ経験もある。今季のNPBでの投球間隔が長く「NHK」の番組に取り上げられたほど。来季からさらに厳しくなるピッチクロックへの対応も注目される。
パドレスは大谷翔平投手が契約したロサンゼルス・ドジャースと同じナ・リーグ西地区に所属。来季は13試合が組まれており、大谷との対戦も楽しみだ。日本での松井と大谷の対戦成績は通算2打数1安打、1打点、1三振だった。しかも、来季の開幕戦は韓国・ソウルでの3月20、21日の2連戦でいきなりの激突があるかもしれない。
ネットオークションの「eBay」では松井の日本製のトレーディングカードが12月17日には1件、18日には2件だった落札件数が、契約合意が伝えられた19日は30件、20日には13件と大きくその数を増やすなど、脚光を浴びた。TOPPS社からは「NPB」「NPB Chrome」にくわえ、WBCのカードも出ており、こちらの人気もアップしていきそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。