集英社は1月5日、サッカー漫画「キャプテン翼」について、シリーズの漫画としての連載が4月に終了することを発表した。作者の高橋陽一さん(63)の体力の衰えや執筆環境の変化により、漫画を描くことが困難になってきたことが理由、という。シリーズ連載は1981年より、43年間、続いていた。4月初旬発売の「キャプテン翼マガジンvol.20」の掲載話が最終回となる。
高橋さんは1980年4月に「週刊少年ジャンプ」に読切作品として掲載された「キャプテン翼」で漫画家デビュー。81年3月から同誌で連載をスタートさせ、翼の小学生~ジュニアユース時代を経て、88年22号で連載が終了すると、翼の成長にあわせ、物語の舞台も「ステップアップ」して、これまで数々のシリーズを連載させてきた。
主人公の大空翼、翼やそのチームメイト、ライバルたちの成長を描いた。爽やかなストーリー、個性豊かなキャラクター、そして、彼らが次々に繰り出す「必殺技」で人気を集めた。その影響力は「漫画」の枠を越えて、読者だった少年少女が国内外で多くのプロサッカー選手になるきっかけにもなった、とされる。
コミックスの全世界シリーズ累計発行部数は9000万部以上で、テレビアニメ化、ゲーム化もされた。ゲームの中にはTCG(トレーディングカードゲーム)も含まれ、KONAMI、タカラトミーなどからゲームカードが数多く、制作。子供たちから、子供の頃に「キャプテン翼」に魅了され、成長したファンまで、幅広い年齢層で収集され、親しまれてきた。カードの公式カタログも発売されたほどの人気を誇ってきた。
1994年には、FIFAワールドカップ開催を記念して、5種類のプロモーションカードを配布。翼、若林源三、岬太郎、日向小次郎、葵新伍がラインナップされた。
高橋陽一さんの発表されたコメントは以下の通り
いつも『キャプテン翼』を応援していただき、ありがとうございます。
1981年に「週刊少年ジャンプ」で『キャプテン翼』の連載を始めてから2024年で43年目になります。ここ数年、この先の物語をいったいどこまで描けるのか、ずっと考えていました。そして今回、最後まで連載にこだわり体力の限界まで“漫画”を描き続けるよりも、連載をやめ『キャプテン翼』の最終回までの“物語”を残す決断をしました。
今、頭の中には「キャプテン翼」の一応の目安の最終回までの構想があります。現在、「キャプテン翼マガジン」で連載中のオリンピック編「ライジングサン」の、その先のシリーズまで含めてです。ですが計算すると、この構想をすべて漫画化するにはこの先40年以上かかってしまうかもしれません。それを実現させるのは現実的ではないと感じた一方、たとえばネーム(漫画制作の元となる絵コンテのようなもの)などの形で“物語”を残すことだけに集中すればできるかもしれない、と思いつきました。
これまで、身体は大きな病気をすることもなく、現在も健康状態は維持できていると思います。ただ年齢も60を超え、「週刊少年ジャンプ」や「週刊ヤングジャンプ」で週刊連載をしていた頃と比べると、老眼やめまいなどに苛まれ、だいぶ身体にガタがきていることもたしかです。
そういった体力の衰えと、昨今のデジタル化の波による執筆環境の変化などにより、以前より漫画の執筆ペースは落ちてきました。さらに2020年から猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大により、スタッフ体制の維持も困難になりました。そして僕が漫画家を目指すきっかけであり、一番の憧れであり、目標だった水島新司先生の訃報が飛び込んできたことも考えさせられる契機になりました。
簡単にできる決断ではありませんでしたし、いつも「キャプテン翼」を楽しく読んでくださっている読者の皆さんには残念で寂しい思いをさせてしまうかもしれませんが、この決断を理解していただければと思います。
ここで伝えきれない正直な思い、決断に至った経緯などの詳細は1月5日発売の「キャプテン翼マガジンvol.19」に綴らせてもらいました。現在同誌で連載中の「キャプテン翼ライジングサンTHEFINAL」、そして「キャプテン翼MEMORIES4最強!!明和FC伝説」は、4月初旬発売予定の「キャプテン翼マガジンvol.20」の話をもって最終話とさせていただきます。そして「キャプテン翼マガジン」も、このvol.20をもって最終号となります。
今はまず、連載の最終回までの原稿を全力で描き切ろうと思っています。どうか最後までおつきあいください。「キャプテン翼」の今後の物語については、発表の方法や場所が決まり次第お知らせしますので、お待ちいただきたく、よろしくお願いします。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。