横浜DeNAベイスターズからポスティングシステムを利用してMLB移籍を目指していた今永昇太投手がシカゴ・カブスと契約を結んだ。1月12日にはシカゴ市内のホテルで入団会見。TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」はレギュラーカードにくわえ、会見で着用したキャップ(帽子)カード、ジャージー(ユニホーム)カードを制作した。
契約は4年総額5300万ドル(約77億円)。カブスのチームカラーのブルーのネクタイに、初めて背番号18のユニホームに袖を通した今永は英語で「Hey,Chicago!」「What do you say? The Cubs are gonna win today」とカブスの応援歌「Go Cubs go」の歌詞を引用して自己紹介。メディアだけでなく、ファン感謝祭で集まったファンのハートをつかんだ。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では米国との決勝戦で先発した。「WBCの経験は間違いなく、自分がさらに成長したい、もっといいピッチャーになれるはずだと思わせてくれた大会。MLBには自分の想像を絶するような能力を持った選手がたくさんいるんだなと興味を持ち、そこで自分の力を存分に出したいという気持ちになりました」とMLB挑戦のきっかけを改めて、口にした。
カブスを超える条件を提示した球団もあった。それでも、カブスを選んだ理由について「(球団幹部との)面談で力強い言葉をいただき、可能性が無限大に広がるチームを求めていたので、カブス入団が自分の成長につながると思った」と明かした。代理人事務所の支部があるシカゴに昨年のクリスマスから滞在して、シカゴの町も気に入っていた。
「自分のポテンシャルを信じて思い切って投げてほしいと言われて、心に響きました。自分自身はまだ未完成だと思っているので、カブスと一緒に成長して、完成に近づいていければいい」と続けた。「投げる哲学者」と呼ばれてきた左腕らしいコメントに、米国メディアも「The Throwing Philosopher」と報じた。
カブスは1876年に創設されたナ・リーグ中地区の名門球団。外野フェンスに生えたツタが有名なリグレー・フィールドはMLBではボストン・レッドソックスのフェンウェイ・パークに次ぐ2番目に古い本拠地球場として知られる。2016年に108年ぶり3度目の世界一に輝き、昨季は3年ぶりに勝ち越しとなる83勝79敗も地区2位に浮上したが、上位3チームが進出できるワイルドカード争いで4位になり、ポストシーズン進出を逃した。
今永は10人目の日本人選手で、投手としては6人目になる。現在は鈴木誠也外野手が在籍。「入団が決まった後に連絡して、彼も自分のことのようにうれしがってくれて、興奮していますと言ってくれた。彼と一緒に日本人のチームメート同士でカブスを盛り上げていければ光栄」と話した。
24時間限定で発注がスタートした今永の「TOPPS NOW」の3種類。米国の販売サイト限定のキャップカードとジャージーカードはすぐに完売してしまった。大谷翔平投手、山本由伸投手も入団会見カードが作られたが、メモラビリアカード2種類は今永だけ。日本が誇る奪三振王へのトレーディングカード界からの期待と注目度の高さがわかる。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。今季からNHLにハマっている。