バスケットボール女子のパリ五輪世界最終予選が2月11日、ハンガリー・ショプロンで行われ、日本代表が86-82でカナダを下し、大会2勝目。最終戦で3大会連続6度目となるパリ五輪出場を決めた。
世界ランキング9位の日本に対して、カナダは5位という「格上」の相手。日本は第1Q、司令塔の宮崎早織(ENEOS)がドリブルから持ち込み先制パンチとなるゴール。さらに山本麻衣(トヨタ自動車)もシュート。今大会のチームコンセプト「走り切るシューター軍団」を実践した。それでも、スピードを生かした攻撃を見せたが、平均身長で約8cm高いカナダにリバウンドを取られるなど苦戦した。
20-20の同点で第2Qに入ると日本は外から攻撃。馬瓜エブリン(デンソー)がこの日初めての3ポイントを決めると、チームに勢いがつく。184cmの赤穂ひまわり(デンソー)がリバウンドを取り宮崎へ渡し、最後は赤穂自らシュートを決める。攻撃のリズムを掴んだ日本は、その直後、再びエブリンが3ポイント。さらに、残り2分を切ってから山本が3ポイントを2度成功させ、50-46とリードして前半を終えた。
両チームが得点を取り合う展開になった第3Q。日本は馬瓜ステファニー(MOVISTAR ESTUDIANTES)、山本が3ポイントを決めるが、カナダを突き離せない。それでも山本がフリースローを決め、70-67と3点のリードで最終の第4Qに突入した。
第4Qでは残り4分半で79-79の同点に追いつかれる。一進一退の攻防の中、残り3分を切った所で司令塔の宮崎がひとりで持ち込んで81-79、さらに髙田真希(デンソー)がディフェンスに囲まれながらもゴール。最後は山本も小さい体でゴールにねじ込むなど執念を見せ日本が勝利をもぎとった。
MVPにはこの試合でチーム最多の25得点をあげた山本が選ばれた。チームで最も低い163センチの身長ながらポイントガードとして1試合平均17得点をあげた。ドライブ、要所でのスリーポイント、好守備も光った。そして、どんな逆境でも見せた笑顔で一気に世界が注目するヒロインになった。
ブレークの予感はあった。6月のアジアカップ直前の強化試合でも活躍しMVPに選出されていた。アジアカップでは中国に敗れて6連覇を逃したが山本はベスト5に選出された。
「ほんとに勝ててうれしいです。ほんとに勝つしかなかった。相手の弱いところを全員が理解して攻め続けた。まだここからが始まり。レベルアップしてパリ五輪で金メダル取りたい」と決意を口にした。
山本は2021年の東京五輪では新種目の3人制で五輪に初出場。ここでも武器のシュート力を存分に発揮し、1次リーグで金メダルを獲得した米国に金星をマークするなど活躍した。山本の父は、バレーボール男子元日本代表で、JTでも活躍したリベロの山本健之氏。母も元バスケットボール選手の実業団でプレーした。
山本のトレーディングカードは、Wリーグで所属するトヨタ自動車のチームカードがある。直筆サインカードも収録されたこのカード以外にも、Wリーグのオフィシャルカードも人気急上昇中だ。パリ五輪での活躍も期待される山本だけに、BBMやエポック社のオールスポーツカードでも今後は登場するのは間違いなさそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。