例えばNPB12球団の本拠地球場がある11都道府県にはトレーディングカードを取り扱うショップがある。「MINT」にしても然り、唯一、実店舗がない愛知県でも昨年、期間限定でPOPストアをオープンするなど、カードコレクターを、そうでない人も楽しませている。
JR千葉駅から徒歩5分。MINTのHPに掲載されている地図だけではわかりにくいのだが、ヨドバシカメラが入っているビルの4階に「MINT千葉店」がある。ここ数年、オープンしたり、リニューアルした店舗に比べるとこじんまりとした印象は否めないのだが、昔ながらのトレカショップのイメージでお宝が目一杯、詰まっている。
玉川裕也店長が、MINT店舗の中でも野球に強いと言われるMINT池袋店2Fから異動してきて4か月。「MINT千葉店」はこれまで以上に野球に強い店舗になっていた。
千葉と言えば、NPBの千葉ロッテマリーンズである。マリーンズファンと言えば、熱い応援で知られる。シングルカードが並ぶ棚にはマリーンズの選手だけの棚がある。PSA鑑定済みシングルの棚には、佐々木朗希投手のカードが並ぶ。30万円を超える佐々木のサインカードは立て続けに売れたばかり。全国のMINT各店舗の中でも、まさにホットな店舗ともいえる。
取り扱うカテゴリーはNHL以外のスポーツである。それでも「千葉にある店舗ということで、やはり、マリーンズに強い店、そこから、ほかの11球団も充実しています、という野球に強い店にしていきたいと思っています」と玉川店長は話す。実際に玉川店長が異動してきてから、NPBはもちろん、MLBも含めた野球カードの動きがこれまで以上に活発になった。
「池袋は野球に詳しいお客様が多かったのですが、千葉はそういうお客様プラス、ふらりと立ち寄ってくださる、これから野球カードを始める人が多いのかもしれません。ミニボックスや、お楽しみパックを購入してくださるお客様が池袋店より多い感じです」。お楽しみパックは池袋店では通販で、千葉店では来店して購入するお客様が多い、という。
昔ながらのカードショップという意味では、最近のショップではめっきり少なくなった、自分の手と目でシングルカードを選んで購入できるストレージボックスが並んでいるのも楽しい。取材に伺ったこの日も、若いカップルが仲良く、ああでもない、こうでもないと笑いながらシングルを選んでいた。休日には親子でシングルを探して、購入するお客様も多い。
「シングル10枚をパックにしたものも、学生さん達がよく購入してくれます」。玉川店長の「優しさ」にあふれる店作りが伝わってくる。現在、スタッフは玉川店長を含め4人で絶賛、募集中だそうだ。
昔ながら、とばかり言っては失礼かもしれない。トレーディングカードの市場価格を株のようにレポートしている「Ladder Headlines」と提携し、毎月の注目カードを紹介する、MINTならではのモニターも設置されている。ポケモンカードも抽選販売ながら、若干の取り扱いがある。
千葉にはサッカーのJ1の柏レイソル、J2のジェフユナイテッド市原・千葉、バスケットボール男子・B1の千葉ジェッツふなばしといったプロスポーツチームもある。「サッカーも、バスケットも、ほかのスポーツも千葉にあるチームのカードはいいですね。マリーンズのカードから野球カード、のように、それレイソルも、ジェッツもそれをきっかけにスポーツカード全体を盛り上げていければ」と玉川店長。「そのためにも、まずはマリーンズのことなら、MINT千葉と言われるようになりたいです」と地域密着型の店舗を目指す。ハイテクで近未来的なMINTもワクワクするが、こんなMINTがあるから、カードショップはいつも楽しい。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。