NPBのセ、パ両リーグは5月10日、3、4月の月間MVP賞を発表し、パの投手は日本ハム・伊藤大海投手が自身初めて、受賞した。伊藤は自身初の開幕投手を務めたほか、5試合に先発登板し防御率1.41と安定した投球で、リーグ2位に並ぶ3勝をマークした。
「今回受賞できたことを大変光栄に思います。開幕投手に指名された時から、いいスタートを切りたいと思っていたので、実現できてよかったです。自分一人の力ではなく、打って守ってくれる野手、リードしてくれる捕手のおかげです。チームで戦った結果が評価されて、本当にうれしく思います」と感謝した。
日本ハムの快進撃を支えるエースだが、4月にはトレーディングカード界でも話題になった。19日の対千葉ロッテ戦で7回6安打3失点と粘投。チームのサヨナラ勝利を呼んだ。この試合の後で「一瞬でも背が高い夢を見せてくれたので感謝したいです」とユーモアたっぷりに笑ってみせた。
実はこの日までに、この日までに、「2024プロ野球チップス第1弾」を販売するカルビー社が、公式サイトで伊藤のカードのプロフィール欄に誤表記があったと謝罪し、交換を発表。身長を「176cm」とすべきところを「176m」としていた。
体重1㎏でも、身長1㎝でも、その差にこだわるアスリートは多い。それが、単位違いの身長176mである。カード制作担当者は「やってしまった」とがっくりしていただろう。そこで出た、伊藤のひと言に担当者は救われたはずだ。176mではないほどだが、伊藤の器の「大きさ」にボクも感激した。野球カードの定番「第1弾」だが、例年以上に注目が高まったはずだ。
以前、ヤクルト・長岡の誤表記カードの記事を書かせていただいたことがある。いわゆるエラーカードはレア度が高く、ちまたでは伊藤の176mカードも高額で取引されている、という。だが、カルビー社で交換してもらえるカードとどちらが価値があるのだろう。エラーカードが珍しく、交換する人が少なければ、訂正されたカードは市場に出回る量が少なくなる。つまり、訂正されたカードのほうがレア度は高くなるわけだ。
今回の月間MVP初受賞で、再び、脚光を浴びることになった伊藤のナイスガイぶりと、「プロ野球チップス」。裏面の誤表記ばかりが話題に上がったが、表面の写真は躍動感あふれる素晴らしい1枚である。
なお、パの打者は柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)が、セは中日の投手はマルティネス投手(中日)と野手はサンタナ内野手(東京ヤクルト)が選ばれた。柳田は2021年9月以来9度目の受賞で、来日8年目のマルティネス、同4年目のサンタナは初受賞となった。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。