フィギュアスケート男子で、五輪の2018年の平昌大会、22年の北京大会で連続メダリストの宇野昌磨が5月9日、所属先のトヨタ自動車を通じて、現役引退を電撃表明した。この日、自身のSNSに「素晴らしい競技生活を送れたことにとても感謝しております」と綴った。
5歳の時、元世界女王の浅田真央さんから「一緒に滑ろう」と声をかけられ、スタートした21年間の競技生活に幕を下ろした。五輪は個人で2018年の平昌大会で銀メダル、22年の北京大会で銅メダル。世界選手権は22年に初優勝し、23年に日本男子初の2連覇を達成した。22年のグランプリ(GP)ファイナルの初制覇で、五輪以外の主要国際大会を全制覇する「生涯グランドスラム」を達成した。
羽生結弦さんとともに男子フィギュア界をけん引する存在だった。全日本選手権では2014年に2位になって以来、23年大会まで10年連続2位以内。優勝回数6回は羽生さんと並ぶ、歴代2位の回数となった。世界で初めて4回転フリップも成功した。
2022年の北京大会後に五輪2連覇の羽生さんがプロに転向、北京大会で金メダルのネーサン・チェン(米国)が休養に入った。「いい成績を出そうが、それに見合ったうれしさを感じることがあまりなかった。やらなきゃという使命感で、この2年間は何とかつないだ」と明かしたこともある。
現役最後となった今年3月の世界選手権では、表彰台を逃す4位に終わったが「年齢なのか、ネーサン(・チェン)、ゆづ君(羽生結弦さん)の存在が大きいのか、心から勝ちたいという気持ちになれなかった」と明かし「僕はもう最善を尽くした」と口にした。
メダル候補だった26歳は、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会のリンクに上がることなく、表彰台から去る。得点を競うアスリートから、自らの高みを目指すアーチストへ、第2幕が開ける。
宇野の華麗なスケーティングは、「TEAM JAPAN オフィシャルトレーディングカード」の第1弾「SYMBOL ATHLETES & NEXT SYMBOL ATHLETES」、第2弾「WINTER OLYMPIANS」でカード化され、高い人気を誇ってきた。男子フィギュアのレジェンドのひとりは、スケートトレカでもレジェンドとして、これからも登場してほしいところだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。