UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)の決勝が6月1日、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われ、レアル・マドリード(スペイン)がドルトムント(ドイツ)を2-0で下し、2季ぶりで大会最多を更新する15度目の優勝を果たした。優勝賞金は総額で約8000万ユーロ(約136億円)と見られる。
スペイン代表DFダニエル・カルバハルが後半29分に先制点をあげた。ドイツ代表MFトニ・クロースの左CKにヘディングで合わせた。CLでのゴールは8大会ぶり通算2点目。堅実な守備でリードを守り、MVPに選ばれた。
「とても幸せな気分だ。簡単じゃないことはわかっているけれど、自分たちを信じていた。最初のヘディングを外した時、次は決めなければいけないと考えていた」と振り返った。
自身6度目のCL制覇を達成し、途中出場したクロアチア代表MFルカ・モドリッチとともに、チームのレジェンドであるFWフランシスコ・ヘント(パコ・ヘント)の個人最多記録に並んだ。マドリードで公式戦通算600試合で182得点をマークしたヘントは、CLの前身のチャンピオンズ杯で1955-56年から5連覇。65-66年に最多6度目の欧州制覇を達成した。
後半38分の2点目はブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオール。イングランド代表MFジュード・ベリンガムのパスを受け、勝利を決定づけた。異なるCL決勝で得点した史上最年少の選手(23歳325日)になった。2011年に当時バルセロナに所属していたアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの23歳338日を上回った。ヴィニシウスは、2年前にパリで行われたリヴァプールとのCL決勝では決勝ゴールを記録している。
また、今回の得点により、CLの決勝トーナメントで通算22ゴール(11得点11アシスト)に直接関与したことに。なお、今回のドルトムント戦では、ドリブルを8度試みており、これは2015年にリオネル・メッシ(当時バルセロナ)がユヴェントス相手に記録して以来のCL決勝最多タイ記録になった。
自身2度目のCL制覇を果たしたヴィニシウスは試合後、「会長が契約を延長してくれることを願っているよ。トニ(クロース)やルカ(モドリッチ)、(ダニエル)カルバハル、ナチョ(フェルナンデス)のように、ここで歴史をつくりたい」と話した。
ベリンガムは3シーズンを過ごしたドルトムントから今季、移籍してきた。公式戦42試合に出場し、23得点13アシストを記録。スペインリーグ優勝と年間MVP、スペイン・スーパー杯も制し、さらに欧州CLの頂点に立った。
「このような試合でプレーするのが夢だった。言葉にできない。人生で最高の夜だ。パーフェクトなシーズンという意味では、上位に入るはずだし、これ以上の夢はない」。スタジアムに駆けつけた両親、弟をピッチに招き入れ、抱き合った。
モドリッチとスペイン代表DFナチョ・フェルナンデスははRマドリードで通算26個目のタイトルを手にし、これまでの記録保持者だったマルセロとベンゼマの「25」を抜き、クラブ史上の最多タイトル獲得選手となった。
ナチョとモドリッチはこれまでRマドリードの選手として、欧州CL6回(ヘント、カルバハル、クロースと並び、大会史上の最多記録)、クラブワールドカップ5回、欧州スーパーカップ4回、スペインリーグ4回、国王杯2回、スペイン・スーパーカップ5回に優勝している。
クロースは有終の美を飾った。この大会を最後に現役引退を明言している34歳は先制点のアシストに加え、代名詞ともいえる直接FKでも前半と後半に1本ずつ、鋭いシュートを披露。好セーブに阻まれたが、ユニホームを脱ぐには惜しい輝きを放った。
「勝因は前半に失点しなかったこと。次第にゲームに入れるようになり、時間がかかったけど我々のプレーは良くなった」と振り返った。試合後、ドルトムントを退団する同じドイツ代表の仲間、ロイスやフンメルスと抱き合い互いの健闘をねぎらった。
スーパースターがそろい、かつては「銀河系軍団」と呼ばれたRマドリードが再び、輝きを取り戻した。パリ・サンジェルマン(PSG)からの退団を発表していたフランス代表FWキリアン・エムバペの加入も濃厚。ピッチでも、トレーディングカードでもさらに輝きを増しそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。