卓球のWTTチャンピオンズ・モンペリエの女子シングルス決勝が10月27日、フランス・モンペリエで行われ、初出場の世界ランク15位の大藤沙月(おおどう・さつき=ミキハウス)が初優勝を果たした。同7位の張本美和(木下グループ)を4-2で下した。
決勝の第6ゲーム、10-4から張本美のバック側に果敢に長いサーブを出し、ミスを誘って決着をつけた。その瞬間、大藤はガッツポーズを作った左手をそのまま口に当て、信じられないという表情を浮かべた。
「驚きの気持ちでいっぱい。それ以外ない。サンキュー。メルシー」とフランス語も交え、インタビューで話すと、観客席はスタンディングオベーションで祝福した。台から離れた位置でも強烈なバックハンドでノータッチで打ち抜くなど、その戦いぶりでもフランスの卓球ファンの心をつかんだ。
まさに快進撃だった。WTTツアーで3番目の格付けで、世界ランク上位者ら32人だけが出場できるこの大会で、2回戦は同11位・平野美宇(木下グループ)に3-0、準々決勝では同8位・伊藤美誠(スターツ)を3-1で撃破。準決勝で同10位の鄭怡静(台湾)に競り勝ち、アジア選手権で50年ぶり中国撃破の立役者となった張本美まで破った。
福井・大野市生まれの20歳。中学時代から名門のミキハウスを拠点に腕を磨き、2021年の全日本選手権ではジュニア女子で石川佳純以来の連覇。10代から世界ツアーにも参戦してきたが、パリ五輪代表選考が国内選考会中心となったことを受けた所属の方針で、2021年を最後に国際大会には参戦しなかった。
2028年のロサンゼルス五輪を目標に、今年4月からWTTに参戦。出場5大会すべてで決勝に進み、4度の優勝を飾った。同5位の早田ひながけがで辞退したため繰り上がりでつかんだチャンスをモノにした。
国内のTリーグでは2021-22年シーズンから日本ペイントマレッツに所属。2023年からTリーグのカードを発行するエポック社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」ではタイミングよく、大藤の初カードの発注を現在、受け付けている。このカードはアジア大会でペアでチャンピオンに輝いた横井咲桜との1枚。貴重なトレーディングカードになりそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。