2022年には球団の殿堂入りでスピーチも

米国野球殿堂は11月18日、2025年の殿堂入り候補者28人を発表し、シアトル・マリナーズなどでメジャー通算3089安打をマークしたイチローさん（マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター）ら、14人が新たに加わった。2019年に引退したイチローさんは日本人初の選出が確実視されており、史上2人目となる満票で選出されるかが注目される。

殿堂入りはメジャーで10年以上プレーし、引退から5年が経過した選手が対象。米野球記者協会に10年以上在籍する記者による投票で75%以上の得票が必要となり、結果は来年1月21日に発表される。日本人では過去に野茂英雄さんや松井秀喜さんが候補入りしたが、殿堂入りは果たせていない。

イチローさんは2001年にポスティングシステムを利用して、マリナーズに移籍。日本人野手として初めてMLBでプレーする夢を叶えた。ルーキーイヤーに首位打者や盗塁王に輝き、最優秀選手（MVP）と新人王を同時受賞。2004年にはシーズン262安打のメジャー記録をうち立てた。通算打率は.311で、アメリカン・リーグで2度の首位打者に輝き、7度の最多安打のタイトルを獲得した。日米通算では4367安打を記録している。

イチローさんの選出は確実視されており、満票での選出となる可能性もある。満票での選出はこれまでに、ニューヨーク・ヤンキースの守護神だったマリアノ・リベラさんしかいない。

また、イチローさんは「レイザービーム」として知られる強肩と俊足で10年連続でゴールドグラブ賞を受賞した。外野手として10年連続のゴールドグラブ賞はウィリー・メイズ、ロベルト・クレメンテ、ケン・グリフィー・ジュニア、そして殿堂入り候補のアンドリュー・ジョーンズさんに並んでいる。

東北楽天でプレーして日本の野球ファンにもお馴染みの「AJ」は今回で投票8年目。昨年は選出に必要な75％の得票率に対して61.6％を獲得。通算434本塁打の打撃もあり、今年は殿堂入りをウワサされている。

ほかにも、今回の候補者の中には通算422セーブのビリー・ワグナーさん、通算251勝左腕のCC・サバシアさん、完全試合も達成したサイヤング賞のフェリックス・ヘルナンデスさん、名二塁手だったイアン・キンズラーさんとダスティン・ペドロイアさんとチェイス・アトリーさんらがいる。

記者投票の当選者は、1980年以降に活躍をした選手の中から殿堂入り者を検討する時代委員会（旧称ベテランズ委員会）の選出者とともに殿堂入りする。その16人の委員からなる時代委員会の投票結果は、12月にダラスで開催される野球のウインターミーティングで発表される。

昨年は名捕手だったマウアーさんが殿堂入り

2025年の殿堂入りが決まったレジェンドたちは、来年7月27日に野球殿堂から1.6キロ離れたクラーク・スポーツセンターでの式典でスピーチを行う。これまでの式典での最多の観客数は、2007年に「安打製造機」トニー・グウィンさんと「鉄人」カル・リプケン・ジュニアさんの殿堂入りを祝うために集まった推定87,500人で、日米で絶大な人気を誇るイチローさんが式典に出席するとなれば、過去の記録を更新する可能性もある。

MLBでプレーした野球人にとっては最高の栄誉である野球殿堂入りだが、経済的な恩恵も受ける、という。サインに「HOF（Hall of Fameの略）」のインスクリプション（添え書き）を加えることで、関連する商品や記念品の販売価値が上昇する。イチローさんもかつて、新人王に選ばれた際にはUPPER DECK社の「SP AUTHENTIC」のサインカードに「ROY（Rookie of the Year）」のインスクを入れた。これから、サインを書くトレーディングカードに「HOF」のインスクが入る機会も増えるだろう。

Cove（ライター）
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター（自称）。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。