WBOアジアパシフィック・バンタム級王者の那須川天心(帝拳)が2月24日、有明アリーナで前WBOW世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(豪州)と対戦。10回、壮絶な打ち合いを繰り広げ3-0で判定勝ちし、ボクシング転向後6連勝を飾った。
1回、強烈な右ストレートを被弾するなど、前王者の圧力に劣勢となった。場内がどよめく中、4回、那須川の右カウンターフックがヒット。変化をつけながら、武器のスピードで対抗した。
6回、モロニーの右で天心がバランスを崩す。両膝が曲がりながら、ぎりぎりのところで尻もちを回避した。「ホー!」と絶叫する天心は、ここに打ってこいと頭をさして挑発。厳しい戦いとなったが、左ボディーを連打するなど打ち合いに応戦した。
7回から鼻血も出たが、アッパーをヒットさせるなど一歩も引かず。インターバルでは拳を突き上げ、余裕も漂わせた。最終10回はモロニーがラッシュを仕掛けたが、天心も反撃。ボディーとフックを打ち分け、最後まで戦い抜いた。
結果は3-0の判定勝ち。3人のジャッジは97-93、98-92、97-93という完勝だった。
「いやー、本当に予想どおりモロニー選手めちゃくちゃ強くて。初めて効かされたって感じで、いい経験させてもらった。打ち合いとかしたことなくて、初めて打ち合いしてちょっと一人前というか、男になれたかなと思います」と試合後、天心は充実感を口にした。
キックボクサーで「神童」としてと頂点を極めた後、2023年にプロボクサー転向。無傷の6連勝で、世界タイトル戦に、また一歩近づいた。リング上にWBO世界バンタム級王者の武居由樹が上がると「武居選手とはいろんな因縁というか、アマチュアの頃から試合して、キックの時にはチャンピオン。(自分は)今は挑戦する立場。いつかどこかで戦いましょう。ボクシングルールで」とメッセージを送った。
天心のトレーディングカードは、エポック社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」が独占して発売してきた。2月21日からは3日間限定で、昨年10月の第5戦の写真を使った「直書きサインカード」3種を発売した。すべてのカードにシリアルナンバーが入り、各種1枚づつ、ゴールドのインスクリプション(添え書き)が入ったスペシャルカードになった。また、天心自身がプロデュースした「那須川天心プロデュース特別セット」も販売している。この日の価値ある勝利もどんなカードになるのか、楽しみだ。