WWE「RAW」で世界女子タイトルマッチが3月3日、米ニューヨーク州バッファローのキーバンク・センターで開催され、挑戦者のイヨ・スカイがリア・リプリーにフォール勝ちして新王者に。「レッスルマニア41」への出場を決めた。イヨは過去にWWE女子タッグ王座、NXT女子王座も獲得しており、WWE史上7人目、日本選手ではアスカに続く女子グランドスラム達成となった。
イヨは「レッスルマニア」出場をかけた「イリミネーション・チェンバー」大会へのトーナメント、リブ・モーガン戦で、リアが予期せぬ乱入。イヨを加勢したとして反則負けとなり「イリミネーション・チェンバー」大会へはモーガンが出場。失意のイヨだったが「レッスルマニア」直前に、このタイトルマッチが組まれ、勝てば、王者として、WWEの祭典出場が決まる大一番になった。
現在のWWEでは実力、人気ともにナンバーワンの「最恐」王者にスタートからフルスロットル。ユニット「ダメージコントロール」の僚友、ダコタ・カイのカイロキック、カイリ・セインのインセインエルボー、アスカのアスカロックとそれぞれの決め技を連続で繰り出すなど、自らが背負った熱い想いをリングで披露した。
WWEの若手ブランド「NXT」時代から、お互いを認め合うライバル関係にあったふたり。パワーで圧倒するリアに対して、スピードで対抗するイヨ。互角だった勝負が動いたのが、ともにリング外に落ちてダウンした時だった。「イリミネーション・チェンバー」大会を制して、この日の勝者への挑戦がすでに決まっていたビアンカ・べレアがリングサイドで観戦。べレアがふたりにリングに上がることを促したのだが、イヨを応援した、と勘違いしたリアが激怒して、集中力が途切れた。
リアは一気に決着をつけようと、コーナーのトップロープから必殺のリップタイドを狙ったが、ベレアに気を取られた隙に、イヨが体勢を変えて切り返し、カウンターの雪崩式フランケンシュタイナーでリアをマットへ投げ落とした。すかさず「ジーニアス・オブ・ザ・スカイ(空の天才)」と呼ばれるイヨの代名詞、ムーンサルトプレスを華麗に、強烈に決めて3カウントを奪った。勝利が信じられない表情でチャンピオンベルトを受け取ると、感激で顔を覆った。興奮気味だった新王者だが、最後はベルトを肩にかけ、最高の笑顔を浮かべ、観客席へ向けて、両手で感謝のハートマークを作った。
控室でのインタビューでは「もう言葉がない。とても驚いたし、私はやってのけたんだ。観衆からも素晴らしい声援をもらったよ。私はレッスルマニアに行けるんだよね?」と声を震わせた。
レッスルマニアで対戦するブレアについては「彼女はとても強い。マッチョだし、EST(最上級)でもある。そう、文字通りEST。でも私は王者だ。このタイトルは絶対に守る。これは私のタイトルなんだ」と言い切った。昨年の「レッスルマニア40」では「ダメージコントロール」を追放したベイリーに敗れ、WWE女子王座から陥落。悪夢を繰り返すことはしない覚悟だ。
自身のSNSには、ベルトの写真とともに「どんな時でも諦めずに努力を続ければ、夢はかなう」と投稿した。
「ダメージコントロール」は、やり放題だった当初、ヒールのイメージが強かったが、最近はマットでの戦いぶりを評価され、人気ユニットになった。リーダーでもあるイヨはその象徴で、この日もイヨ・コールが起き、試合後は大きな拍手と声援で祝福された。トレーディングカードも急上昇で、ネットオークションの「eBay」では「2024 Panini WWE Flawless」の 1 of 1パッチオートが1,699ドル(約254,000円)で落札されている。これまでも名勝負を繰り広げてきたビアンカとのレッスルマニアでのタイトルマッチでトレカの市場価格もさらに上がりそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。