レギュラーシーズン、ポストシーズンで激闘を繰り広げた8人の日本人メジャーリーガーの今季の成績と、トレーディングカードを勝手に採点した「日本人メジャーリーガー通信簿」第2回。今回は、今季MLB初挑戦となった3選手についてお届けをする。
【山口俊(ブルージェイズ)】
17試合2勝4敗0S 防御率8.06 26奪三振
チーム成績=レギュラーシーズン3位(ア・リーグ東地区)、ワイルドカードシリーズ敗退
昨季はNPB巨人で最多勝を獲得した右腕が、オフにまさかのポスティングシステムでブルージェイズと2年契約。初挑戦にくわえて、新型コロナの影響で開幕が遅れ、さらに初登板の7月26日の対レイズ戦はタイブレークというなれないシチュエーションで、逆転サヨナラ打を浴び敗戦投手になるなど不運な部分も多かった。2年契約の来季は先発か、リリーフか。厳しいシーズンになることだけは間違いない。(採点3)
筒香、秋山と3人のルーキーの中でも、開幕前からトレカメーカーの期待度はかなり高かった。MLBに挑戦する日本人メジャーのルーキーカードとしては定番の入団会見の模様がトップス「シリーズ2」でカードになったほか、そのシルバーパック、通常パックでもサインカードが封入された。入団会見は3人の中で一番遅かったにもかかわらず、だ。パニーニ社ではSNSで山口がシールにサインする様子を流し、多くのブランドで封入。だが、いかんせん、成績が伴わず、残念な展開に。それでも、多くのカードでコレクターを楽しませてくれたので、トレカ的にはまずまず。(トレカ採点5)
【筒香嘉智】
51試合 打率.197、8本塁打、24打点
チーム成績=レギュラーシーズン1位(ア・リーグ東地区1位)、ワールドシリーズ進出
年明けに入団会見を開いた秋山、山口よりいち早く、昨年12月に移籍を発表し会見した。いくつかの獲得希望球団の中から一番の熱意を見せたレイズを選んだそうで、キャッシュ監督も積極的に様々な起用法で出場させた。7月25日のブルージェイズとの開幕戦に「3番・三塁」で先発すると第3打席にメジャー初安打となる1号2ランを本拠地・トロピカーナフィールドの左中間スタンドへ。閉幕までに8本塁打を記録し、NPB本塁打王のパワーの片鱗は見せたが、シーズン終盤、プレーオフでは出番は減った。勝負強さが売りのスラッガーにとって2割を切る打率はいただけない。(採点4)
入団決定が秋山、山口より早かったため、3人の中では最初にパック商品にカードが封入された。パニーニの「ドンラス」は横浜DeNA時代の写真を加工してルーキーカードとして発行。レイズユニでは、開幕戦初本塁打の衝撃デビューがすぐに「トップス・ナウ」でカードに。豪快なフルスイングの一瞬をとらえた写真だったが、背後からの撮影で顔が見えなかった。ファームに降格することもなく、出場を続けたことで、トップス「シリーズ2」あたりから定番化。「ボーマンクローム」「ファイブスター」「トリプルスレッズ」「ゴールドラベル」の高級版にもルーキーカード、サインカードが入った。重厚なイメージの筒香には高級版カードがよく似合う。(トレカ採点6)
【秋山翔吾】
54試合 打率.245、0本塁打、9打点、7盗塁
チーム成績=レギュラーシーズン3位(ナ・リーグ中地区)、ワイルドカードシリーズ敗退
埼玉西武の主将が日本人選手で初めて入団したのは名門レッズ。ライオンズ時代と同様にトップバッターとして期待されたが、デビューは代打。7月24日のタイガースとの開幕戦の6回、メジャー初打席初安打となる中前適時打を放ち初打点も記録した。シーズン中盤までは先発出場しても打順はクリーンナップ以降だったが、NPBシーズン最多安打の実力を見せ始め、慣れてくると「秋山らしさ」を発揮。9月にはチーム最高の月間打率.314、出塁率.459にくわえ、守備と走塁でも光った。(採点7)
攻守走の三拍子がそろった秋山だけにプレーでの見せ場は多い。トップス「シリーズ2」の打撃フォームの同じ写真が当初はよく使われていたが、打撃だけでも、多角的に躍動感のある写真が撮影できる選手で、トップス「シリーズ2」のレギュラーカードはそれが伝わってくる。「スタジアムクラブ」も背番号「4」が見える後ろ姿がイケている。動かなくても絵になり「アーカイブス」の満面の笑みもいいカットだ。日本人メジャーの中では大谷に並び、カード映え選手と言えるだろう。目ざとい米国人ファン、コレクターもわかっている。ルーキーカードはサインカードも含めて、取引価格をその成績とともに徐々に上げていき、来季への期待感は膨らむばかりだ。(トレカ採点7)
cove【ライター】
国内外のベースボールカードやコレクションアイテムを収集し続けて30年。元スポーツ紙ライター。