昨年から復活した「プロ野球新外国人選手活躍予想」だが、今季は新型コロナの影響で、入団が決まっていても、来日の予定が決まらないなど、各球団の助っ人事情は不透明な部分が多い。1日でも早く来日して、開幕に間に合うことを願って、今季から日本でプレーする外国人選手を紹介する。
今季、NPB球団と契約を結んだ新外国人選手は育成契約、国内移籍の3人を除けば、投手が10人、野手が11人。例年になく、MLBでの実績がある選手が多い傾向となった。実績だけなら、ナンバーワンはJ.スモーク(巨人)。強打のスイッチヒッターとして08年のMLBドラフト1巡目(全体11位)でテキサス・レンジャーズに入団。17年にはトロント・ブルージェイズで34本塁打を放つなど11年間で9度の2ケタ本塁打を記録。メジャー通算196本塁打。ただし、打率が17年の.280が最高と一発屋のイメージが強い。球宴にも出場経験もあり、トレカは多く発行されている。
同じく実績で選べば、スモークとチームメートになったテームズ(巨人)も上位だが、適応力はテームズの方が高そう。NPB入りがウワサされていた常連がついに来日した感じだ。メジャー通算96本塁打。14年から3年間は韓国プロ野球(KBO)でプレーし、3年連続30本塁打&120打点。15年には47本塁打、140打点を記録し、現在でもKBO史上最高となる長打率.790を残した。成長を認められMLBに復帰した17年からのトレカが多いのも特徴だ。不安は守備だろうか。スモークと本職が一塁でダブるのも気になるところだ。
同じようにKBOでの活躍を経て来日したのは、アルカンタラとロハス・ジュニア(ともに阪神)。私見だが、投手では目立った選手がいない今季の新外国人の中では一番、期待できそうなのがアルカンタラだ。MLBオークランド・アスレチックスで2勝した後に韓国へ。19年にKTウィズで11勝、昨年は斗山ベアーズに移籍し20勝2敗で最多勝と最高勝率の二冠に輝いた。MAX158キロの直球とスライダーとスプリットを制球よくコーナーに決める。
ロハス・ジュニアは米マイナーからKTウィズに入団し、スイッチヒッターとしての才能が開花。昨季、2度目の40発となる47本塁打、3年連続100打点となる135打点で二冠王になりMVPにも選出された。2年連続のゴールデングラブ賞に選ばれた外野守備もいい。ちなみにアルカンタラも同賞に選出されている。
スワローズに入団したサンタナ(東京ヤクルト)の名前を覚えている野球ファンも多いだろう。イチローの現役最後の試合となった19年の東京ドームでの開幕戦でシアトル・マリナーズの5番打者を務め、逆転のグランドスラム。この年、21本塁打をマークし、17年のミルウォーキー・ブルワーズ時代には30本塁打。まだ、28歳ながら7年間のメジャー生活でトレカも多い。相性のいい日本でブレークの予感が漂う。
今季の助っ人の中でイチオシはクロン(広島東洋)。父は元大リーガー、兄は現役メジャーという野球一家のDNAを受け継いだ。初昇格した19年、ダイヤモンドバックスで39試合に出場し16打点をあげた勝負強さが魅力。この年は6本塁打も、マイナーでは2年目の15年から4年連続20本塁打以上を記録しており、長打力もありそうだ。入国手続きもスムーズに1月には来日。練習熱心なその優等生ぶりで評価を上げている。
外国人獲得に定評があるカープが目をつけたクロンに対して、ガーバー(中日)は日本で首位打者を3回獲得したレジェンドであり、昨季23年振りに中日に戻ってきたパウエル打撃コーチが推薦した。パウエルコーチがサンフランシスコ・ジャイアンツのコーチ時代に指導した教え子で、米国では打撃よりも強肩の右翼守備が高い評価を得ていた。日本で再びタッグを組むパウエルコーチとの二人三脚でジャパニーズドリームを掴むか。
正直に言ってパ・リーグには楽しみな新外国人選手が少ないが、唯一の期待の星がディクソン(東北楽天)だ。19年にはデトロイト・タイガースで15本塁打を記録した。この年は5盗塁だったが、15年にはマイナー2球団で計26盗塁。16、17年で33盗塁をマークるすなど、攻守走の三拍子が揃う。メジャーでプレーし、太いパイプもある石井一久監督兼GMが獲得した選手だけに注目される。
Cove【ライター】
国内外のベースボールカードやバブルヘッドなどコレクションアイテムを収集し続けて30年。保護猫の姉妹を引き取り在宅ワーク中。駐米経験もある元スポーツ紙ライター。