TOPPS「Stadium Club」の「2021 Baseball」が発売された。MLBのトレーディングカードの定番のひとつで、30年の歴史があるだけに毎年、発売を待っているコレクターや野球ファンは多い。人気の大きな理由は通常のトレカとはひと味違う写真をフレーム無しの全面で使用していることだろう。
ここ数年のTOPPS社の傾向であるクローム化、パラレル化よろしく、「スタクラ」にもその波が押し寄せて、さらに相乗効果を高めている。
例えば、米ネットオークション「eBay」でのマイク・トラウト外野手(ロサンゼルス・エンゼルス)の出品価格と入札価格を見てみると、もともとショートプリントのレギュラーカードが7ドル(約800円)前後、クロームバリエーションが10ドル(約1,100円)前後、レッドフォイルパラレルが25ドル(約2,800円)前後。ここから一気に跳ね上がって、1991年のデザインを復刻したバリエーションが200ドル(約2万2,000円)前後、50枚限定のブルーフォイルバリエーションが350ドル(約3万8,000円)、写真違いのイメージバリエーションが500ドル(約5万5,000円)前後、クロームのゴールドパラレルが1,500ドル(約17万円)前後、1of 1のレインボーフォイルバリエーションが1,849ドル(約20万4,000円)となっており、今後も価格が上がるのは間違いない。
これらのバリエーションがすべてではなく、パックから引き当てるのは苦労するが、その分、引き当てれば喜びも大きい。好きな選手のバリエーションなら文句なしだ。ただし、レギュラーカードだけでも、このトラウトのようにショートプリントが多いのでボクのようにレギュラーカードのコンプリートを目指す人には悩ましい。インサートにさえ、4種類のカラーバリエーションが存在する。
主なバリエーション、パラレルのオッズは
【ホビー版】
写真バリエーション 1:179パック
1991デザインバリエーション 1:179パック
RC1992デザインバリエーション 1:389パック
1991デザインバリエーションサイン 1:988パック
RCデザインバリエーションサイン 1:829パック
【ブラスター版】
写真バリエーション 1:287パック
1991デザインバリエーション 1:287パック
RC1992デザインバリエーション 1:623パック
1991デザインバリエーションサイン 1:4,938パック
RC1992デザインバリエーションサイン 1:4,153パック
と、なかなか、出ない。しかも、大問題なのは、色違いのフォイルバリエーションや、デザインのバリエーションなら一目瞭然でわかるが、写真違いは同じ選手の同じ番号のレギュラーカードが同じボックスに入っていないため、気が付かずに見逃してしまう。同じ番号でレジェンド選手が写真バリエーションになっていることもあり、これもヘタをすると気がつかない。
そこで、TOPPS社はバリエーションがわかるように、裏面に「バリエーションコード」なるものを、説明文の最後に記載するようになった。
ベース #244
クローム#280
写真バリエーション #289
RC1992デザインバリエーション #291
1991デザインバリエーション #545
しかしである。この数字がめちゃくちゃ小さいため「小さな親切、大きなお世話」的に、また、ボクを悩ますのだ。これは罪だ。
それでも、やはり、「スタクラ」の開封は楽しい。高騰する各メーカー、各ブランドの中でボックスは比較的購入しやすい価格だし、ボックスで開ければ、人選はともかく2枚のサインも出る安心感もある。ボックスに1枚封入されている大判カードにも、サイン入りとデザインバリエーションがあるのは困ったものだが…。
たまに、奇を狙いすぎてイケてない写真もある。外野手の捕球シーンを無理やり、伸ばしている写真などは「それは違うだろ」とひとりで突っ込んでしまうが、そんなカードも含め、レギュラーカードを見ているだけで、グラウンドの選手の息遣いが聞こえてくるようだ。
そして、ボクは「スタクラ」のパックを開け続ける。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。日米のコレクションアイテムを収集して30年余。ベースボールカードは定番ブランドのみを購入するこだわり派(経済的な理由もあるが…)。保護猫の姉妹を引き取り、在宅ワーク中。