MLBはトレード締め切りとなる東部時間7月30日午後4時を前にスター選手を含む大型トレードが続々と成立した。最近では例を見ない展開で、トレーディングカードにも大きな影響を及ぼしそうだ。
ポストシーズン進出、ワールドシリーズへ向けて、成績上位チームが戦力を補強。大差をつけられプレーオフ進出が絶望的な球団が高年俸の選手やFAになるまでの期間が短い選手の代わりに、若い有望選手を獲得しチーム再建へ舵を切る。例年なら7月31日午後4時なのだが今年は31日が土曜日でMLB事務局が休みのため、前日の30日に時計の針が東部時間16時をさすまでファンは目を離せなかった。
毎年恒例の「フラッグディール」だが、今年はとくにビッグネームが動いた。
ナ・リーグ西地区2位でワールドシリーズ連覇を目指すロサンゼルス・ドジャースはサイヤング賞投手で今年の球宴で先発したマックス・シャーザー投手、今年の誕生日に自身3度目のサイクル安打を達成したトレイ・ターナー内野手をワシントン・ナショナルズからプロスペクト4選手との交換で獲得した。ドジャースに追われる首位のサンフランシスコ・ジャイアンツはクリス・ブライアント内野手をシカゴ・カブスから2選手との交換で獲得。同じ地区のサンディエゴ・パドレスはすでに7月27日にピッツバーグ・パイレーツから球宴出場のアダム・フレイジャー内野手を得た。パドレスは一時、シャーザー争奪戦で一歩リードしていると報道されていた。この地区はペナントレースでも熱い戦いを続けているが、補強でもしのぎを削った格好だ。
対照的に、カブスとナショナルズはシャーザー、ブライアントだけでなく有力選手を球宴後、この日までに続々と放出した。カブスは「魔術師」ハビアー・バイエズ内野手とトレバー・ウィリアムズ投手をニューヨーク・メッツへ。ジョク・ピーダーソン外野手をアトランタ・ブレーブスへ。守護神のレイグ・キンブレル投手をシカゴ・ホワイトソックスへ。アンソニー・リゾ内野手をニューヨーク・ヤンキースへ。ナショナルズは6月に月間16本塁打を量産したカイル・シュワーバー外野手をボストン・レッドソックスへ、ジョン・レスター投手をセントルイス・カージナルスへトレードした。有力選手が多く所属する2チームが「解体」されたことが今回のトレード活発化の要因ともいわれている。
ア・リーグ東地区で遅れをとるヤンキースはリゾだけでなく、ロサンゼルス・エンゼルスから左腕エースのアンドリュー・ヒーニー投手を、テキサス・レンジャーズからジョーイ・ギャロ外野手とNPB中日ドラゴンズでもプレーしたジョエリー・ロドリゲス投手を獲得。リゾは早速、対フロリダ・マーリンズ戦で移籍1号本塁打を記録し「Topps Now」でカードになった。
他にも、ネルソン・クルーズ内野手がミネソタ・ツインズからタンパベイ・レイズへ2対2のトレードで移籍するなど、この日までに球宴後から56件のトレードが成立した。
球宴開け直後のトレードなら、移籍選手はTOPPS「Update」などで新しいユニホームでの写真が使われ、トレーディングカードになる可能性は高い。「デッドライントレード」でも、オフに発売されるブランドには間に合う可能性はありそうだ。MLB機構とトレカ制作の契約を結んでおらずチーム名、ロゴマーク入りのユニホームの写真の使用ができないPANINI社の場合は、トレカに印刷するチーム名(都市名)を変更するだけなので、TOPPS社に比べれば混乱なく、少しは早く移籍選手のカードが作られるだろう。
トレカジャーナル編集部