東北楽天のドラフト2位ルーキー・安田悠馬捕手の評判がすこぶるいい。巨漢を活かした豪快な打撃は大学時代、「ゴジラ」と呼ばれていたそうだ。ゴールデンイーグルスでは背番号55を背負っている。NPBにはかつて「ゴジラ」系のニックネームが多かった。佐伯貴弘さん(元横浜ベイスターズ)は「メカゴジラ」、嶋重宣さん(元広島東洋カープ)は「赤ゴジラ」だった。しかし、元祖「ゴジラ」はみなさんもご存じの松井秀喜さんである。
NPB、MLBの国内外の野球カードに強いMINT池袋店が今回、MINTモールに数多くの松井さんのトレーディングカードを出品した。その中でも、最も注目を集めるのが、このルーキーカードである。
今回の「1993 BBM」はPSAのグレーディング鑑定を受けており、10点満点と評価された。1991年、「BBM」は本格的な野球トレーディングカードとして登場した。92年からはシリーズ1、シリーズ2というスタイルになり、後に1STバージョン、2NDバージョンとなる。巨人のドラフト1位ルーキー、松井のルーキーカードはシリーズ2にカードナンバー#423として封入された。
この年の「BBM」が人気なのは、松井さんとともに、イチローさん(元オリックス)のルキーカード(#239)が封入されているためだ。1996年10月に刊行された「スポーツカードマガジン」第1号のプライスガイドによると、松井のルーキーカードは2000円、イチローのルーキーカードには3000円の市場価格が記載されている。
96年、イチローさんは3年連続の首位打者に輝き、チームのリーグ連覇と初の日本一に貢献した。3年連続のMVPに選出されたこの活躍に対して、松井さんはこの年、1本差で初の本塁打王は逃したが38本塁打を放ち、打率.318、99打点もキャリアハイ。チームの大逆転優勝に貢献。自身初のMVPに選ばれたが、日本シリーズではイチローさんのオリックスに敗れたこともあり、同期のふたりについたこの1000円の差となったのだろう。
ともに、MLBに移籍し、日米の野球史に名前を刻んだふたりだが、残念ながらトレカの市場価格にはいまだに差があるのが現実である。
イチローさんはシアトル・マリナーズに移籍した2001年に首位打者、盗塁王、そしてMVPに輝き、04年には2度目の首位打者だけでなく、シーズン262安打を放ち、メジャー記録を85年ぶりに更新した。松井さんは03年にニューヨーク・ヤンキースへFA移籍し、常勝球団で勝利に貢献。09年には日本人初のワールドシリーズMVPを獲得した。打撃タイトルこそが無いが、もっと評価されるにふさわしい。BBWAA(全米野球記者協会)のニューヨーク支部が表彰する「グッドガイ賞」をルーキーイヤーに選ばれたのはいかにも松井さんらしいが…。
NPBの成績を比較しても7年連続の首位打者となったイチローさんに対して、松井さんは3度の本塁打と打点の二冠王と首位打者を1度、獲得している。松井さんはもっともっと、評価されてもおかしくないし、トレカも再評価されてもおかしくない。
現実的ではないが、松井さんが巨人の監督に就任したり、侍ジャパンの監督として指揮を執らない限り、再評価の機会はないのだろうか?。今回の「1993 BBM」のルーキーカードは40,000円で販売されている。松井トレカが再評価される日が訪れることを信じて疑わないボクにはかなり、お得すぎるプライスだと思う。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。日米のコレクションアイテムを収集して30年あまり。日本唯一(自称)のバブルヘッドコレクター。トレカはレギュラーカードのコンプリと、日本人メジャーが中心。